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人生

運命の別れ道  無念

又、痛ましい事件が発生した、
9日午後10時前、東京発新大阪行き「のぞみ265号」12号車で発生した。新横浜―小田原間を走行中の車内で無職の男が刃物で強行に及んだ。

女性を助けるため後部座席の男性が助けに入って惨殺されたのである、事件を知らせるニュースを一通り見てすぐ沸き起こった怒りがある。

パニックに襲われた車内の状況は理解できるとしても、それでも犯人が馬乗りになって被害男性に刃物を何度も振り下ろしているのに助けに入る男がいなかったという現実、それではあまりに被害男性が哀れすぎる。

その惨劇が分かって数分後、12号車始め前後の車両に屈強な男達はいなかったのだろうか ?

勿論危険極まりない状況なので止めに入る事は困難と思うが、それにしても被害者梅田さんの身を捨てた勇気に比べて他の乗客の無策は情けない。

見殺しにされた男性には家族もいる、男性に勇気がなかったら被害者はもっと増えていただろう、人を助ける崇高な精神ゆえに我が命を失った。

私はこの酷い事件を目にして、若かりし頃のある出来事を思い出していた。

私が30代半ばのころ・・・
港町は夜の帳が下りて飲み屋街に喧騒の時間が迫っていた。

我が店の前の大邸宅を廻った角付近で、その悲鳴は上がった「キャッ!」刃物を振りかざしたAがBに馬乗りになっていた ! 街灯の灯りに 刃物が光った !

強行手段に出れば取り上げられた刺身包丁だったが、当人達の事情を知っている私は、説得で取り収めようと考えたのである。

連れの女性を入れて総勢7名、その人数が声をあげて揉めているのだ、手には鋭く研いだ包丁が握られている、それを横目に見ながら数組の男達が通り過ぎる、見て見ぬ振り、触らぬ神に祟りなし、まさにこれだった。

警察へ通報する者さえいない、人間の薄情を思い知らされた一幕である、私が油断したり又は無力な人間だったら、私を始め被害者が出た事件である。

つくづく人は当てにできない、他力本願の限界を身を以て思い知らされた。

この出来事は、後のオマケは有るものの無事収めることができた、それにしてもこの一例を見ても分かる通り現在の日本人に他を省みる余裕はない、いや責任感の欠如と言うべきかもしれない。

被害者の苗字が故郷の後輩と同じ、それだけに私の想いは被害者に向く。前途を有望された男性は奥さんと二人住まいだった、妻の残された人生は苦難の道が続くのではないか、その道程を思う。

この不幸な出来事が新幹線その他、事故防止のキッカケになれば被害者の無念も少しは晴れるだろうか、今は話す言葉もない。

ご冥福をお祈り申し上げます。

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