広告
人生

入道雲  整列  山里の冬

私の住む東温市は西の方の一部を除いて三方を山に囲まれている、その山の稜線が私のハートを揺さぶる。

ある会合のため自宅を出たのが正午、明るい陽射しがフロントガラスを射抜いている、西に向かう車の前方に不思議な光景が広がっていた。

こんもりした入道雲の一団が真横一文字に整列して、まるで幼稚園児が先生の号令に合わせてお手手つないでの様相、何と可愛い雲さんか、都会では見られない。

だから田舎は、地方は良い、若い時に遊ぶなら大都会、子育てするなら地方都市、黄昏に寄り添うなら山里 

私が若い時に描いた幽玄峡がある・・・

山里の雛壇状の農家住宅を横切って水路が走っている、まるで田舎の座敷雛の雪景色。

清らかな水流を雪解け水が音を忍ばせて下流に向かう、小鳥達がさえずり、乳牛が声をあげる、番犬一太郎が朝の挨拶 「ワン  わん!」

かまどから夕餉の煙が頂きに向かう、たまゆらの幸せ、年老いた老夫婦が冬間近に備えて薪の準備、黄昏が夫婦の絆を強める「お爺さん、足は大丈夫ですか ?」  老妻の気配りが嬉しい。

細やかな幸せ、贅沢はいりません、お前とわしの桃源郷。

その日は近年稀な大雪となって車の登り降りが途絶えた、今朝に限って妙にカラスが騒ぐ、何処かでキジの鳴き声が聞こえて来た、家の中はシーンと静まり返っている。

「お爺さん! ・・・ン    ?」

いつもの咳声がしない !  お婆さんは胸騒ぎがして来た?   寝床の襖を開けると、まるで眠っているようにお爺さんは亡くなっていた、安らかな顔、まるで花咲か爺さんの表情だった、やり遂げた男の大往生、究極の夫婦愛だった。

一歩一歩、私の願望は叶っている、幼き頃の思い出、人との縁、杉の子の最終章はお天道様に委ねる、   感謝を胸に  !?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

広告