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人生

一息ついて 父子鷹

一息ついて 父子鷹

初対面なのにその人は穏やかな笑顔を見せられた、奥さんが亡くなってもう15年、入院していた整形外科病院から退院したばかり、仕事での訪問だった。

眼光鋭い人だが、会話を進めるうちにだんだんと自分の身の上話しを始めた、県内で知られた会社に定年まで勤めておられた。

淡々と語る夫婦の想い出話は胸につまされる、男の孤独は、私たちが向かう明日の姿、役所に着いた、そして私は車椅子を押した、まるで亡き兄にするように   !

役所の窓口の女性職員の応対が素晴らしい、まるで自分の父親に接するような優しさ、感銘を受けた私は身分証明書と名刺を差し出した。

彼女の笑顔が弾けた   !

人の輪、些細な気配りだがそこに人間の根源が見える、嬉しかったら、幸せの順送り、いつの日、寂しさにウチ萎れる時、ひとの慰めが身に染みる。

道徳観念の廃れた昭和から平成   ?

しかし現在は新たな令和の時代に入った、新しい日本の再生である、道徳心の復活、日本人としての誇りの再生。

その人は、立派に人生をやり遂げた「お酒いけますか?」私の問いに「今はダメになったね気を使わなくていいよ?」

昭和初期生まれの矜持が垣間見えた。

私は若い頃からお年寄りが好きだった、遠い昔を懐かしむ様に目を細める姿に感動したものである、ばあばと過ごした隠居生活は、私の何よりの寺子屋だった。

いつか行く道、辿る道、分け隔てなく平等に渡る蔦の吊り橋  !

対岸に提灯の灯りが見える、やり終えた男の勲章が輝きを増す。

飽食は一瞬、名は末代   !

その人は子供の教育も立派にやり遂げていた、紹介者の電話で長男の立場を知らされた、人も羨む組織で頑張っている、この親にしてこの子あり、日本人の矜持が見事に花開いていた。

「父子鷹 !」

息子さんに逢いたい  !    是非逢ってみたい         !?

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