広告
雑談

望郷ふるさと 望郷子守唄 男のやせ我慢

望郷ふるさと 男のやせ我慢
海のない山辺の農村地帯は私が育った故郷と対極に位置する
環境に在った、
厳しかった冬がようやく南に向かって移動し始めた。

数十年ぶりに再会した後輩との余韻が未だ覚めやらない、
子供の頃から中学を卒業して大阪に就職した時代の話は身に
つまされるものが有った。

私には二人の異端の竹馬の友が居た、もう過去形になったが!
後輩の思い出の中に彼らの存在が浮き彫りにされた、
まず後輩の話の前に私と彼等との望郷ふるさとを語って見たい。

先生方ではどうにも手に負えない男だったのが T 通称 K !
私と同じ竹組、T やんと呼んで仲良くした、彼が下級生を苛めた
記憶はない、ほとんど上級生に牙を剥く男だった。

脅し、カツアゲ、なんでもやった田舎の青年たちは恐れ慄いた。

もう一人の男はM 、M やんと呼んだ、彼は松組、だから本格的
には中学からの同級生になる、人の良い、やさしい男だった。

ふたりは期せずして不良の世界に身を投じて行く、色分けすると
T は、愚連隊! Mは、本物のヤクザ、大阪に根をおろした !

ふたりを比べて特徴がハッキリするのは素人に対する態度だった、
組織に属さず規律に縛れない T は、どうしても尊大さが出て町の
住民から避けられた。

Mは、どうだったか、大阪ぐらしのM を語るにはその材料が不足
する、後輩の思い出話に輪郭を探る事になる、たまに帰郷して私を
訪ねる彼にヤクザの片鱗は一切伺えなかった、竹馬の友に対する
彼一流の思いやりだったような気がする。

厳しいヤクザの世界を生きるにはその性格はマイナスに作用した。
晩年は、妻子と別れ、一人寂しくマンションの一室で誰にも看取られ
ず息を引き取った。

Tは、どうだったか、彼も離婚した妻や娘に看取られる事はなかった、
病院の一室で波乱の生涯を終えたのである。

大阪のMは、田舎の後輩に泣きをいれた事がある、金の無心だった、
後輩は、黙って大金を渡したそうである、恐れからではなく優しい
先輩への後輩の気持ちからだった。

彼等はどんなに金に苦労しても竹馬の友、この私 S に無心した事は
なかった、ギリギリのところで男を捨てなかったのである。

望郷ふるさと、望郷子守唄、
私は、彼等を偲びながら、男のやせ我慢について考えている、

S やん ! 喉から手が出るほど金に困窮しても、グッと飲み込んで
我慢した、その男の心根が、愛しくて、哀れでならない。

男の世界、侠客の世界、昔の任侠道が廃れて久しい、純粋日本人の
世界だったのが国際色豊かになった所為だとも云われる。

切った張った、おぞましい舞台劇に道化師役として存在した彼等も
無邪気な子供の時代が有ったのである。

望郷ふるさと、望郷子守唄、男のやせ我慢
人目を避けて涙をぬぐう、孤独な男たちの挽歌にほかならない、
童心は、父と母のぬくもりを、生まれた故郷を忘れる事はない。

童謡 故郷
兎(うさぎ)追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷(ふるさと)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

広告