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日常生活

心のこもったコーヒー

温泉街のある場所で障害を抱えた人達が働く施設がある。

近くの会社へ用があって出向いた後、時間が空いたので
ある施設内のカフェーコーナーに入った、
カウンターで二人の従業員が働いていた。

車椅子の年配の男性客が座ってカウンターを挟んで話し
込んでいた、馴染みの間柄のようだった。

コーヒーを頼んでIPを開いて記事を追っていたら、
しばらくして、聞き覚えのあるA先生の声が聞こえてきた。

先般、
電話がかかってきて体調が思わしくない旨言っていたので、
良くなったのかなと内心ホッとしてそのまま声だけ拾って
IPを追っていた。

話の内容から、4人は、旧知の間柄のようで邪魔になっても
いけないので顔を背けたままにしていた。

年金、株価に関するもので懐具合の豪勢なものだった。
A先生、先般の声と違って明るく勢いのあるものだった。

健康を回復したんだ、良かったな !
私は、素直に喜んでいた。

時間が来たので立ち上がって話の主に目を向けた、
A先生と思っていた人は、車椅子の別人だった。

それにしても声が良く似ている、本人よりも明るい
話し方で、福よかな人相の人だった。

テレビのモノマネ番組を見て気付くのだが、声の似て
いる人は、何故か骨格が同じような人が多い、

発声、その他、声の伝わり方等、身体の特に骨格の
似た人は声まで似てくるのだろうか ?

孤独なA先生は、未だ独身である、
ある時の電話で、結婚に対する願望を話してくれた。

夫婦生活の良い面を味わわせてあげたい人だが、
そうもいかない事情がある ? 叶えてあげたいのだが !

施設で応対してくれた従業員は、其々事情を抱え乍らも
必死にマイナスを補って頑張っている。

不自由な発音だが 「ありがとうございました」 の
心のこもった笑顔が帰ってきた。

「コーヒー 美味しかったですよ!」
私は、彼女たちの家族になった気持ちで・・・伝えた。

ここにも、明日に向かって頑張り続ける人達がいる、
接することで自己の少々の不満等、封印である、

「ありがとう !」 外に出てからもう一度つぶやいた、

日射しが落ちかけた午後、私は愛車のドアを開けた。

温泉街の賑わいの時間が、そこに来ていた。

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