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人生

重信川よ 心あるならば

重信川よ   心あるならば

仕事が遅くなって午後9時ごろその場所に差し掛かった、スマホを確認するために少し広めの駐車スペースに停車した、月が雲間に隠れて辺りは暗い、

時々見かける豆柴が前を横切った、いつもと様子が違う? 足と腰が痛いのか動きが鈍い。

私に不快な思い出が蘇った、犬を敵視して彼らに酷い仕打ちをする人間たちの仕業が以前繰り広げられた事があった。

今回もそれら類似の人間たちが鬼の形相で棍棒を振ったのであろう、それにしてもひどい仕打ちである。

ある時、首から針金をぶら下げた大型犬が彷徨ったことがある、呼吸をするのも痛々しいので捕まえて取り除いてやりたいと思い近くに行くと逃げる、見るに見かねて救いの手をさしのべるのだが、こちらを同じ人間と認識して怖がるのである。

半月ほど見かけていたがとうとう見かけなくなった、苦しんだであろうと思うと、人を善意に見る私ながら、さすがに怒りに震えた。

人伝えに地元の年配の有志が棍棒を手に、捨て犬、野良犬を追い立てて叩く姿を見ている、生き物への酷い仕打ちは、いつか我が身に返る運命になる。

案外本人には来ないとしても、家族にその報いが来る例は多い、私はそんな事例を多く見て来た、人を、生き物を、粗末に扱い痛めて良いはずがない、うちしおれる時が必ず来る。

「因果応報」  その人の罪、家族に及ぶ、私の心構えである。

ということは、本人だけの責任に済むものでなく、一族郎党に罰を負わせられるのである、その事例は我々の済む村や町に散在する、私はそれらを家族の宿痾として眺めている。

先般も夜の帳にいたいけな子犬が道端に横たわっていた、通行車両に轢かれたのである、私と同じ志の人情家が弔ったようである。

過去の明るい時間にも、数度見かけた私は市役所の担当部署の懇意な若い職員に何度か連絡して手厚く弔ってもらった、

動物たちの世界は、「事即死」の世界なのである。

大型台風10号が我々の地にも迫っている、夕暮れの重信川河川敷は、水流もなく静かに時を刻んでいる、台風10号よ、来ないでくれ、ここには、人間に追い立てながら逃げ惑うか弱き者たちが潜んでいる。  

どうか、棲家を猛々しい濁流で根こそぎ持って行かないでくれ、せめてひと夜の安らぎを、どうか奪わないでおくれ   !

重信川よ、心あるならば、か弱きものたちへ慈悲の心を、人間に追い立てられ引き裂かれる母と子の絆を奪わないでおくれ。

腹を空かせて彷徨う白とクロ、せめて一夏生かせておくれ             !?

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