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人生

みかんの花咲く丘 名誉

名誉  !

ひっきりなしに電話がかかって来る、更にメールが入る、特に今朝から昼にかけて押し寄せて来た。

ほとんど仕事の予定と打ち合わせ、うれしい悲鳴をあげてます、米作農家の知人からは米に関する相談、県境の町からは農地の変更に関する件、頭の切り替えが大変です。

ある手続きの打ち合わせが予定されていたが、先方の社長から10月早々の日程を提示された、了解です。

焚き火の残り火が名残惜しそうに燃え上がる、そんな風情を見せている、秋  !   「去る秋惜しむ我が胸よ   !」

人生の綾は、決して投げない事、しがみついても死出の旅の誘惑に負けない事、有名女優のマスコミ報道に見る自死の噂は先般の若手人気男優の死を思い起こさせてファンの悲しみを増幅させる。

身内の話で恐縮だが、若い頃、若さの至りで人の迷惑顧みずヤンチャをした男がいた、その性格は人の為に己を抑える男肌、苦節数十年、故郷を捨てた彼に名誉の相談事が故郷から届いた。

現在は幕末維新の雄藩の街で終の住処を得ているが、彼から相談の電話がかかって来たのである、

「これこれだが?  どうしょうか ?  どうしたものか  !」

私は彼の背景その他を考えて答えた「受けて立て、やり遂げよ!」末代に残る家業の誉れ、その名誉、そこには故郷の人々の希望が託されている。

彼の家庭は事情があって親子の離反がなされていた、家族は不幸にも彼本来の良さを理解できていなかった、不肖の親父像だったのである。

長い道程の果てだが、親父の真の姿を私は家族に見せたかった、だからやれ !  と進めたのである。

彼は引き受ける道を選んだ、「やって見る   !」その舞台を作る側に、私の一方の親族がいることを彼と当事者は知らない !

人生の不思議は、会うことのなかった親族同士の前に感激の舞台が準備されることになったのである。

何という人生の不思議だろうか   !

依頼する側と依頼される側、全く「事実は小説よりも奇なり !」その舞台は、見送る側の侘しさと託される側への賛歌    !

西日射す宇和海の海は、伊方原発を背に輝いている、凪を見せる故郷の海は童謡・唱歌の似合う村でもある。

「みかんの花咲く丘」 ♪  みかんの花が 咲いている  ・・・ お手手つないだ子供達が笑って並んでいる。

彼との電話の後、私は感慨に浸っていた、親子の情愛が取り戻せるなら、これほどの慶事はない、草葉の陰で喜ぶ人がいる、誤解を固執したまま黄泉の国へ旅立った彼の父、私の兄の笑顔だった。

これほどの名誉があろうか、それは末代故郷の人々の胸に刻まれる。

「男だったら弱音を吐くな、泣くな !  いつか必ず笑う日が来る !」

白いばら 🌹 ・・・

白バラ楽団の演奏が最高潮に達した、長兄のドラムが感涙にむせんでいる、山田茂人画伯のギター演奏が思い切り弦を張る、

ズンズンどんどん  !  式場は満面の笑みに包まれた、それは、みかんと座敷雛の里、母校の中学校の閉校式。

令和3年3月29日、八幡浜市立真穴中学校の歴史に幕が降りる日の事である             !?

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