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雑談

挽歌 ! 第三の男 K !

挽歌! 第三のおとこ K
Kと云う男は高校二年になって頭角を現して来た、
Yの引き立てが転機となった。

昭和が戦争の痛手から抜け出て復興の槌音をあげて
未来を見始めていた時代の田舎町の学園ドラマー、

二人の男とKがこの高校に入学して来た、私は歌舞伎の
黒子、ピエロ役。

一年の入学式の講堂に我々新入生約200名は整列した、
私の同郷のMが斜め左前の学生の袖を取った、
「おい! こっちへ来いよ !」

突然の事でその学生はいささか戸惑っていたが、
素直にMの云う通りに列を変えて、Mの前に並んだ。

些か不満そうだがMの問い掛けにはボソッと答えていた。

この二人の出会いが、男2人の絆の芽生えた瞬間だった、
Y ! M ! と呼び合うK校花の番長の誕生秘話である。

その時の戸惑った気弱そうな男が後年K高 屈指の番長に
のし上がる、その貴重なフラッシュを私以外の学生は
誰一人として知る者はいない。

陽のM 陰のY そのふたりは、彼ら本来の資質から逆転の
学生に変貌する、極めて象徴的な一場面だった。

二人とも野球少年で野球部に入部する、近隣の中学から
押しの強い J が同じく野球部に入って来た、
J は見るからに猛々しい風貌の持ち主で短気な男だった。

一年後半ともなると野心家のJは、ワシがK校を抑えると
公言するようになる、ふたりは黙って言わせていた ?

我々は二年に進級する、其の頃からふたりの勢いが増して
来た、三年でも余程剛毅な者以外は彼らに文句を言えなく
なる、それはMの背景に理由があった。

学校そばの漁師町、ここがMの生まれ育った土地、荒くれ
漁師の後ろ盾を上級生は怖がったのである。

その上、三年生の中にMと同じ町の、後世に語り継がれる
特筆される上級生がいた、

教室の窓ガラスを叩き割って教師を乱打して退学になる
その学生の存在がYに活躍の場を与えた。

二年生の分際で三年生の教室に押し掛ける傍若無人の振る
舞に、他の上級生の歯ぎしりが聞こえて来るようだった。

我々が二年になるとYが一人の男をスカウトした即ち仲間に
引き入れたのである、それがKだった、

一年の間はおとなしくてアイウエオ順の席順の関係で私とは
よく語り合った男だった。

二年の修学旅行で秋田県の高校生と箱根で喧嘩沙汰になり
ふたりを残してトンズラしたことでJの権威は失墜した、

M Y K の3人の天下が到来する、しかし、M Y の偉かった
のは下級生にけして手を出さなかった事である、

その点、空手だこの拳を持つKは、下級生から恐れられた?
状況次第で容赦なく殴り飛ばした、一番怖がられた。
校舎の柱を拳ダコで叩き回った、見るだけで皆 恐れをなした。

他の学生が怖がって遠慮する権勢を振るうようになってからも
私に対するKの眼差しは変わらなかった、勿論そこには、Mの
後ろ盾があった事は否めない事実である。

こうして現在私は、人生の後半に差し掛かっている、
昨年、Y死亡、 そして年末にJの奥さんからJの死亡を知らされた、
Mの居場所を知ることさえできない。

私は、Yの死で力落としているKの行く末を心配している、

私が彼らの事をブログに載せるのは、
彼らなりに生きて来た証を、彼等と歴史を共有した友に知らせて
記録に留めてやって欲しいと願うからである。

Mは、大阪で水商売を成功させたが後継者に恵まれなかったこと、
健康等の理由で早く引退することになった。

Yは、全国展開の大手運送会社で定年まで務め幸せな家庭を築き
悠々自適の余生を送っていたが昨年春家族に見守られて逝去。

Kは、地元の役所を定年退職、家族に囲まれて趣味の釣りをして
人生を振り返っている。

黄昏の侘しさは親友の死に依って倍加される !
しかし・・・
私の最終章はそれからで・・・良い !?

私の友達探しの旅はさらに続く、 イバラ道   由 !?

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