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雑談

春の雨  寂しげに肩を落として  恋

春の雨 寂しげに肩を落として 恋

様々な想いを抱いてプラットホームに立つ君、
その肩が悲しみに震えていた、・・・春 !

父の経営していた事業が失敗して両親は離婚した、
弟は全日制高校から定時制高校に代わって、
昼は父の友人が経営する印刷会社に雇って貰った。

弟は、涙をぐっと堪えて姉に胸の内を打ち明けた !
「姉ちゃん、負けずに頑張ろうな! 僕がとうさんの
失敗を必ず取り戻すから!」 目は赤く涙が滲んでいた。

年が明けて三月の終わり、別れを惜しむ雨が降っていた。

姉は、母の妹、叔母の住む東京へ行くことになり、
三月の終わりを待たずにボストンバックひとつ下げて駅に
立った。

人影のまばらな午後のY駅は、馴染みの人影もなく、娘の
置かれた立場を物語っていた、発車の時間が迫る頃、若い
男の姿が目の前に立った。

この春まで、嬉々として未来を語り合った同級生同士、
二人は、恋と云うには幼くて愛というには面映い友達同士、
そのような表現が似合う幼友達でもあった。

「身体に気をつけてな!」男のうつ向いた顔が引きつっていた?
「うん! 着いたら電話するから!」女の胸の鼓動は切なかった。

雨は、悲しみの二人をいたわるように、遠慮がちに小降りに
なっていた、春の雨、別れのピアノ曲が、遠くで聴こえた。

二人に、共に過ごす未来は叶わなかった。

東京と四国の故郷は余りにも遠すぎた、喜びと悲しみを共有する
季節はついに来なかったのである !

♪ 蛍の光   ♪ 仰げば尊し

季節は巡っても、ふたりには別々の道が待っていた、
青春とは、そして人生とは、悲しみが大手を振って、喜びは
小さく肩をすぼめる。

人々は運命に身を委ねるしかない! それが人間の限界なのだ!

あれから数十年の歳月が過ぎていた、
男は公園に足を運んだ、桜の花びらが健気に枝にしがみついて
明日をもしれぬ命を訴えていた、

「もっと、生きたい !」

春の雨、公園に降る小さな雨の粒、命の儚さを想う 春の雨 ?
カーラジオから想い出の曲が流れて来た!

心泣かせる春の雨、空から雨が蜘蛛の糸をひくように落ちて来た、

春の雨、「幸せかい !」 男はひとり、雨に向かってつぶやいた !?

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