さすがに土砂降りの雨が好きだという人にはお目にかかった
事はない、
どういう訳か私は、静かに降る雨の音が子供の時から好きで
ある。
黒澤明監督の7人の侍、
あの土砂降りの雨の中で繰り広げられるチャンバラシーンを
楽しいと思って見る人はいるまい。
洋画のスパイ物でも重苦しい描写に、土砂降りが添えられる、
私は、8番目の子供としてわずかな戸数の寒村に生まれた、
家は、二反百姓、貧しい家計の家だった、しかし、両親が偉
かったのは、その貧乏、愚痴を子供に見せなかった事である。
貧乏百姓の子沢山、勿論、両親の愛を独占出来る筈もない、
その寂しさゆえか、祖母と住む隠居で雨の音を聞きながらもの
想いに沈む子供になった。
静かに降る雨は、孤独な心をいたわるように優しかった !
祖母が亡くなると母屋の二階四畳半が私の城になった、
狭いながらも私は此処で二十歳まで過ごした。
この裏が鎮守の杜の斜面、子供の頃に遊んだ庭の法面だった。
映画に見る恋人たちの別れのシーン、降る雨悲しいではなく、
私にとっては一人だけの小さな城の子守歌だった。
貧しい家だが酒好きの長男以外は不満のない仲良し家族だった。
私が高校を卒業して農業を手伝っている時、親父は初めて苦しい
家計を口にした、それを聞いた時の衝撃は親を思う切なさと不憫
に思うやるせなさに胸が詰まった、そうなんだ ! 衝撃だった。
この経験が私の背中に貫かれている、
どんな誘惑にも乗らなかった私の信念はここから出発した。
静かに降る雨、
私の思索の時間は、縦横に過去と未来を駆け巡る、あの故郷へ !
雨に泣く ! 雨に想う ! 雨にうたれて !
悲しい女の物語、似合いの言葉か ?
私にとって、思い出さん今日は、ジーン・セバーク ! 雨 !
癒しの雨 ! 夕立に立ち向かったあの日の僕 !
先輩、竹ちゃんの後に続いた草刈りの雨 !
懐かしい想い出の引き出し ! ロマンと希望の雨、
静かに降る雨に、幼き日を思い出す、竹馬の友が笑顔いっぱいに
手を降っている、
きつね寿司とのり巻き、卵焼き、母が作った遠足のお弁当 !
私は、遠くに散った幼馴染の友にエールを送りたい !
みんな元気か ! 弱音を吐くな ! 悲しい時は、みんな一緒だよ !
故郷の空と海、そして駆け巡った野山は、今も変わってないよ!
真穴小学校松組、竹組、元気を出そうぜ !?