とうとう会えなかった、その町で伝説になった男の話、周囲の学生たちが畏怖の思いで噂した男、その名はS。
私の師匠の同級生の弟、不良仲間で常に話題に上がったコワモテ ! 遠くで見かけたことはあっても身近に見たことはなく、そしてその男は伝説になった。
強烈に記憶に残ったのは、素手で降りかかるドスを受け止めて痛手を負ったということ、それは尾鰭を引いて学生たちに広まった。
若い頃何度も直面した怖い場面は、その男の噂話を聞いたことで少しだけ心構えに役立った(切られるかもしれない恐怖心の克服) に役立った。
刃物を前にして平常心でいられた事は空手道の鍛錬と共に先達の経験話が役立った、一度か2度その男を彼の自宅近くで目撃した記憶が残っている。
強烈に残った彼の印象は、決して年下を痛めなかったことである、「S!」 不思議なことに時に私はその男の人生を知りたいと思うようになった。
弱い者いじめのハンパもんに興味はない、組織人間も同じ、私の視線が向くのは弱い者に目が行く義の人たちなのである。
気持ちだけでは凶器に刃向かえない、それをかわせる技量と冷静な判断力と平常心、それらが備えられないとその場にかかわってはならない。
遠い日の思い出、ツーンと鼻につく郷愁、男たちの挽歌、男たちの意気地、過ぎ去りし青春の日々よ、だがその日々は二度と帰らない。
老齢とは振り返るあの日を忘れてゆくこと、己の胸に仕舞う事。
叩かなくて良かった! 泣かさなくて尚良かった !
怨念は、要らぬ時に戻って来る、相手の無念を被ること。
男 S !
何処の空の下、腕の傷跡に後悔はなかったか !
私に無言で生き様を教えてくれた、2つ年上のヤンチャ者 !
粋がったあの日は「かげろう!」 「帰らざる青春の送り火!」
むさ苦しい男の懺悔! いつもの事ですがご容赦ください。
男たちの挽歌 青春はかげろう !?
杉の子さん
故郷は花曇に、私が入れたコメントが、消えてしまいました。
残念です。