3・3・かぶ島会 寒中見舞い
肌寒い小雨がしとしとと降る、得もいわれぬ旋律を伴って我が心を打つ、それは季節の移ろいを惜しみ人との別れに涙するそれである。
自然の為すままの別れならいい、ところが強制的な引き裂き様ならば悔いても悔い切れない、その現実があるから身を苛むのである。
共に手を取り合った人がいた、まるで私の弟の様に愛しさ募る男だった、彼の悪しき噂を耳にして私の心は乱れた、どうにかならぬものか ?
コロナの薄情と並んで人の口から消えることはなかった、別れの季節を私は恐れた、そしてそれがヒタヒタと近寄るのを感じていた。
私は沢山の知己を得て、そしてまるで別れのためにある様に、蛍の光に涙した、別れるなら出会いなんか来なけれゃいい !
男が男を惜しんで涙腺ゆるむ、何とセンチメンタルか!だが現実にある。
今回の苦肉の策の寒中見舞いに、想定外の反響があった、それも男も女もからだったのである、それはハガキ一面に又はわざわざ電話を寄越してくれた野郎ども ! 私はこの胸の内に泣かされた。
コロナの脅威の前に「逢いたい! 会いに来て!」共に空手道に切磋琢磨して今、病いの床に伏す友の言葉である、私は胸が詰まった、「少し暖かくなったら必ず逢いに行くからね !」一級後輩の彼の同級生にも伝えた。
「元気でいたよ! 皆に伝えてくれ !」私の電話に彼らも狂喜した。「Sさん! 良かった死んでなくて良かった!」彼らも宛先不明で年賀状が返送され・・・最悪を想像していたのである。
私は先輩を慕い、後輩に目を注いできた、男の友情にほだされた年明けだった、「Zとの出逢いが儂にとって最高の幸運だった !」少し震える私の告白に和歌山の浜ちゃんも震える声で答えた「ありがとう! そうなんだ・・・」
男の友情、何物にも変えられぬ宝物、今年の年賀状の中にひっそりと控えめな優しい書体の直筆の年賀状が混じっていた、私が苦労のたび思い出した初恋の君「今年は大阪の後輩たちに逢いに行く」と寒中見舞いに手書きした、その中に彼女の弟も混じっている。
東京の同級生、真っさらな竹馬の友、彼は自衛隊在籍の時、空手道に打ち込んでいた、それを今も私には言わない、しかし私には分かっている、彼の所作と言葉に武士のたしなみがある「Tくん! 大丈夫だよ! 押忍 !」
夜も更けて、雨に変わって虫たちの合唱が騒々しい、必死に生きる彼達にアンコール !。
春の故郷への帰郷は、友との感激の再会で盛り上がる、コロナを克服しての「お前と俺 !」男の友情に酔いしれる、側でそっと涙を拭う女性たち。
3・3・かぶ島会 寒中見舞い !?