母のうしろ姿

出逢いがいつだったのか、不思議なことに思い出せない、その理由は、知らぬ間にそっと側に寄って来て人の間に遠慮がちに座っていた男で、その存在感の薄さにあった。

後にＯＭさんを中心に集まった7人のサムライの一員になるＯ君、私たちのグループには2人のＯ君がいた、懐かしい、出しゃばらずそっと輪に加わるＯ君を私は気にかけていた。

グループは反会長を自認するＭを支部長選挙に推薦した、このMが事あるごとにＯ君に冷たく当たった、彼はじっと耐えていた、これらもあって仲間はＭの支援をやめた。

Ｍは数年後、他県で死亡したとの噂が届いた、彼の専門分野を私は業務に入れない、外国人相手は特に用心が必要である。

妬みなのか嫉みなのか、人を区別しない私が1人だけ受け入れられない会員がいる、義理人情の通じない男、恩を理解出来ない不可解な男。

ある司法書士をそそのかして私を相手に訴訟を起こさせた、己たちが被害者ぶって各役所へ駆け込んで訴えたのである。

行政書士会に在籍しながら嘘誠を混同する会員への失望感で私の会への帰属意識は薄らいだ。

人を騙していいことはない、彼の人となりは、多くの会員が知ることになった「奴には気をつけよ  ！」巷で囁かれるうわさを聞くと、災いはその人に帰って行く事を知らされる。

Ｏ君は随分変わった、地位が名声と権力をもたらせる、母の想いを忘れるな、生家を車で通ったのは昨日のことのように思いだされる。

ふるさと、母の想い、辛抱して掴んだ幸せを無駄にするな  ！私は盟友Ｋ君に先日も話した、

「コロナが収まったら、7人のサムライで飲み会をやろう、Ｏ君達も一緒で  ！」  リーダー格のＯ介先生も草葉の陰で喜ぶだろう。

仲間のＯは、2人ではない3人いたのだ、Ｏさん得意のフランス語のシャンソンが朗々と響くだろう   ！

サムライから会長が出る、夢であっても仲間は泣いて喜ぶだろう ！Ｏ君、権謀術数はダメだぜ、正当こそが君の生き方なんだ。

男のうしろ姿、我慢した男の背中、たったひとりの母が泣く。

母のうしろ姿、その小さくなった肩を忘れるな　　　！？