広告
運命

途方にくれて 弟よ !

途方にくれて 弟よ !

哀しみを吹き払うように見事な青空が広がっている、人の力ではどうにもならない寿命、

お互い「いらん子」で、四国は片田舎で生を受けた、10人兄弟の八番目と十番目、自立心の強い兄と甘えん坊の末っ子、年の離れた姉と兄とではどうしても後ろ組同士がかばい合うことになる。

それが兄弟の宿命になった、近くの広場で三輪車を漕ぐ私の側で見ていた弟がある場所で転落したことがある、いち早く気がついた私はあらん限りの声を張り上げて助けを求めた。

幸運なことに目の前の浜で小舟を引きあげて修理をしていたおじちゃんが機転を利かして助けてくれたのである、後年、我が県の県会議長になる先輩が「わしも同じに落ちた、お互い臭い仲だなぁ !」と笑ったものである。

そんな事もあってこの兄と弟は、終生目の届く範囲に居を構えた、その絆も弟の病によって引き裂かれる時が来た、「別離!」「永遠の別れ」他の姉兄の別れの際には出なかった涙だったが、今回はとめでもなく流れた。

私の後ろ姿を追っかけ、私を当てにした弟だった、2人残った姉と私、「姉を見送ったらわしも行く、待っていろよ! 親父おふくろが迎えてくれる筈だ!」

死出の花束を添えながら私は弟に語りかけた「あの世でも兄弟だぞ  !」

彼の妻や子供たちは、その兄弟の別れの舞台をそっと見ていた、万感胸に !

少しでも長生きさせたい願望よりも少しでも早く楽にさせてやりたい祈りの方が私は強かった、その意味で彼の死を受け入れたのである、それでも辛い  !

3ヶ月の間で弟2人の死は切なくて辛い、これも運命なら仕方がない。

身を責める肉親の死、途方にくれて、だがひとり姉がいる、姉を見送るまで負けることはできない「 どんと来い! 苦労よ来い !  負けるものか  !なにくそ!」

青空のもと小鳥達のさえずりが讃美歌に代わった、

「あなたの悲しみは私達の日常です、それでも私達は生きなければならないのです、生まれて来たヒナ達を見捨てる分けには行かないから  !!」

自然界の荒海に翻弄される私達、人間の限界を知る者がどれだけいるでしようか  ?  人間とは、か弱き者、宇宙に漂う孤児、戦争をしている場合ですか  ?

この青空が嘆きの洪水になりませんように、お天道様に恥じない生き方を私はしたい、弟の乗った小舟がお天道様のお導きで無事三途の河を越えるでしょう。

途方にくれて 弟よ   !?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

広告