私は昼休みを見計らって彼の元に電話を掛けた、事務員さんの
爽やかな応対が心地よい、
Aさんは元気ですよとの事務員さんの挨拶の後、彼に代わった。
「ああ!Sさん元気だった ?」 いつもの口調で彼は答えた、
ところが話を聞くと昨年暮れ、生死に係わる大手術をして、
今度ばかりは覚悟をしたという、正月に退院したばかりだった。
大手術をやり終えた後なのにこの楽天さは何処から来るのか ?
人生に達観した男がここにいる。
もう随分逢っていないことに気がついた、受話器の向こうから
聞こえる声は大学空手で暴れた男だけはある、何度も命の瀬戸際を
覗いた男 ? 後の人生オマケかい !
先輩の死、兄貴の病気の事、淡々と語る口調は、覚悟した人間の
所作である、私の周囲にいる空手家は、押し並べて日頃の心構え
が出来ている、もうこの歳になると、未練がないのか ? 潔い。
「今月半ば過ぎたら逢いに帰るよ ?」 私の言葉に・・・
「待っています !」 受話器の向こうで一陣の風が吹き抜けたよう
に感じた。
爽やかさをまるで絵に描いているようだ、大学当時は後輩に恐れられ
( 愛情の裏づけが有っての事だが!)
女に追っかけまわされた愛すべきガッツマン、豪放磊落 押忍。
私にとって彼はなくてはならない男、あることを遺言に残している。
だから私より歳は少し若いが、先に死んでもらっては困るのである。
私の交友関係は、このように信頼関係に結ばれた野郎どもが多い、
これが私の財産であり、生きがいなのだ! ありがたいことである。
先輩から後輩へと、男の行く道は定まっている、
いつか日本が大乱になった時、必要とされる人間になりたいものだ。
大志を捨て、飽食に溺れたひ弱な日本男子は、危機ある時、どんと
腰の座った所作を見せることが出来ようか ? 心もとない。
本当の益荒男は、はるか彼方の地平線を眺めている、
我はどうあるべきか、婦女子をどう守るか! 志は高くあるべきだ。
北が、ミサイル3発を排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込んだ、
1発はEEZ付近に落下した、想定内とは言え日米安保の備えを
固めよ、
大阪の学校問題に捉われるのも良いが、優先順位としてこの北のミサイル
問題は緊急の課題ではないのか ? 国の生き死にがかかっている。
共産党、民進党の姿勢を注視したい、それ如何に依って政権党は覚悟を
固めるべきではないのか。 理由は自ら判断すべきである。
話を戻して・・・
Etc 豪快に男の高笑いが聞こえてくる。
押忍