♪ ねんねん ころりよ
おころりよ
ぼうやは 良い子だ
ねんねしな
ぼうやの おもりは
どこへ行った
あの山 越えて
里へ行った
里の 土産(みやげ)に
何もろた
でんでん太鼓(たいこ)に
笙(しょう)の笛 ♪
土曜日午前8時、
建築会社の従業員が天井の張替え工事のため来宅。
昨夜は激しい雨が降り今朝方も雨雲が垂れ下がって
作業の困難を予想されたが次第に天気が回復して来た。
リビングと居間の二間のリフォ-ム、部屋の荷物を
片付ける、居間にある床の間に亡くなった犬のまる
の遺骨が骨壷に納められて安置されている。
「まるちゃん、天井の張替えをするから少しの間
辛抱してよ !」 声を掛けてやった。
「♪ ねんねん ころりよ おころりよ・・・」
まるが小さな頃から、そして今、ココアにも引き
継がれて折に触れ子守唄を歌って聞かせる。
「♪ ねんねんやぁ ぼろろんやぁ!・・・」
大の男が人前で見せない姿を曝け出す ?
人間と犬の情愛の時間、私は信念として彼女達を
人間として扱う、だから常に声を出して日本語で
語り掛ける、二匹とも年代は違うが生後50日で
我が家の一員として迎えられた。
私が幼少の頃に聞かされた子守唄、その想い出を
振り返りながら、彼女達にバトンタッチする。
「♪ さとの みやげに なにもろた・・・」
柴犬まるは、その子守唄を聞くと催眠術に掛かった
ように目を閉じて眠りに入ったものである。
今、トイプ-ドルとコッカ・スパニエルのハ-フの
ココアが私を見詰めていた瞳を閉じて眠りに入る。
のどかで穏やかな犬達の昼寝の時間である、
人間と動物、特に犬と猫はなくてはならない人間の
友、いや大事な同士、私はこの絆がとても愛しい。
「ええっ! Sさん、犬に話し掛けるの ?」
親しくお付き合い願っている捜査関係者が驚いた !
「そうですよ、話しかけると彼らは言葉が分かる
ようになるのです、知能も発達するのです。」
建築会社の作業は終盤に差し掛かる(仕事の段取りで
あと一日)
まるちゃん、もう終わるから少しの辛抱だよ。
骨壷のまるの写真がにっこりと微笑み返した。
朝晩、お水とペットフ-ドは欠かさない、生きていた
時そのままに接している。
私は我が家の犬を呼び捨てにしない、隣近所の犬とて
同じである、必ずちゃん付で呼んでいる、だから
皆んなからココちゃんのお父さんと慕われる。
犬さんたちからのリクベストかもね ?
「まるちゃんはS家の功労者だよ」
まるは、いろんな想い出を残して、17才2ヶ月で
天国へ召されました。