我々は、とかく勝者に視線がゆきがちであるが、その陰で涙を飲む敗者に思いを致す者がどれ程いるだろうか、
選挙、スポ-ツの勝ち負け、そこに繰り広げられる現実は悲しくも切ない、特に男の生き様、見栄の世界は結果次第で天国と地獄が入れ替わるだけに重いものがある。
幾多の栄光のプロボクシングチャンピオンが誕生して、防衛を重ねた後チャンピオンベルトを失う、その落差は立ち上がれないほどの重圧である。
私も世界の有る級で数度世界チャンピオンを防衛した栄光のチャンピオンと交友を持ったことで、彼らの栄華衰勢を見てきた、視力障害及びその他の健康不安、栄光を掴んだ代償は大きいものがある。
街中の喧嘩で相手を叩きのめした勝者の表情は晴れ晴れとしているが、しかし、倒された敗者の無念は表に出ない、勝者の影に埋もれる。
そこには自尊心も今までの成果も全て失った惨めな男の悔し涙が溢れるのみ、自信がある筈なので先手を取った、だが後手の相手のパンチに沈むことに、勝者の数ほどは知らないが、数少ない敗者を抱えた経験も私にはある。
「負ける喧嘩はしちゃならぬ !」 乗りかかった舟、それでも負ければ男の立場を失う、心震える無念でもある !
一旦負けた男のその後は、どの世界のチャンピオンも一般男性も変わりはない、その惨めさは二度と立ち上がれない程である。
従えた野郎どもを失い、女さえも逃げていく「弱い男に未練はないわ !」オスは、勝つことが、勝ち続けることが王者の誇り、負けたらそこで終わり。崩れゆく男の顔は、何が起こったか分からない動揺に、視線は彷徨っていた。
敗者残影 打ちひしがれる勇者 驕るな勝者 いつの日か !?