ある時を境に見える景色が変わって来た、相対する人間の言葉と表情に腹の中が透けて見える。
けして良いことではない、なぜなら良い面だけでなく悪い面が見える事は、精神的にもよろしくない。
人間或る歳になると嫌な面は見たくなくなるのである、出来ることなら綺麗な花だけ見てみたい、景色もね !
そういうことで、仕事にかまけて普段通らない道を走る、これがなんとも新鮮で心も軽くなる、未知なる誘い !
私は、若い頃、少し財政的に余裕が出来ると、ふらっと一人旅に出た、それも昔の列車の頃である。
初めの内は隣の乗客と話など出来なかったが男同士の殺伐とした付き合いを経験すると、旅の恥はかき捨てで図々しく話しかけるようになった。
当然、礼儀を尽くしての自己紹介から始まる、「手前、生国と発しまするは !」映画の股旅調を彷彿させるセリフが出ようというもの ? 冗談だが !
こうして人とのご挨拶のコツを覚えていった、後々はいかつい人にも話しかけられるようになった、 偉い ?
私の他人との出会いの礼儀作法はそんなところから収得して行ったのである。
若い頃は無我夢中だった会話も、年齢とともに余裕を持って接することが出来るようになる、その延長が相手の腹が読めるようになったのである。
表情を読む、その先を見る、面白い反面、相手の真意が見えるだけに私を好まぬ人の場合は、些か困る事に為る、それを承知で応対しなければならないからである。
まあ、大したことではないが、そういうところから私の自然との向き合い方が変って行った、慈しむ、愛しい !
物言わぬ自然、四季折々の佇まいは精神の安らぎになる。
山道の緩やかなカ-ブをゆっくりと回る、握るハンドルが指示通りに軽やかに動く、珍しい花が咲いている、犬の泣き声が聞こえる、何犬かな ? 想像が膨らむ !
見知らぬ人の生活がある、人生を生き続ける、人間とは何ぞや ?
行き着くのは、人には寿命がある、命は無限ではない !そこから哲学が始まる、人間は面白い、懲りない生き物。
幸せさん今日は ! 悲しみよさようなら !
風邪が知らぬ間に何処かへ消えた、それと同時に仕事が一段落した。次が待っているけれど !
メルヘンの世界、出せなかった恋文、書いてみようか ?
あの時の失恋が胸躍るメルヘンに代る、夢の世界へどうぞ !?