人間にとって生と死ほど厳粛なものはない。
しかし二つとも特例を除いて個人の意思は反映されない、
他者と運命にのみ左右される。
特例とは、自らが行なう自死、これだけは自分の意思で
行うことができる、
あなたの周囲にも有り得た不幸だったかも知れない。
生、誕生は両親の意思と神の思し召しでその日が決まる。
死は、自分及び他者の意思に関係なく宿命で決められる。
こうして見るとだからこそ、死は人間にとっての畏れ !
分からない運命への恐怖、どんなに強がり言っても人は
自分の死を怖れる。
高齢になる程、死に対する人の想いを聞く機会が訪れる、
「死は怖くない!」
簡単に言葉を吐く人がいる、そうなんだろうか ?
そういう人に限って死を怖れる人なのだと私は見ている、
遠からずだろう !
( 命を粗末にするな、軽々しく死を語るな ! )
本人のために、胸の内で相手を戒める私がいる。
病魔に魅入られて死線を彷徨った私は、本物の死に直面
した、だから命の大切さ、愛しさが、まさに実感として
身に及んのである。
無垢の人間の誕生、人間は双生児以外は一人で世の中に
生まれる、死も心中以外は自分ひとりで死んで行く、
誕生の喜びの自覚はないが死に行く寂寥感は実感として
感じられた、いかに肉親が分身が愛しいものか痛感した。
黄昏を迎えた人々に・・・ いづれ行く道、辿る道、
死は決して恐れるものではない、みんな等しく向かう道。
良い事して子供達への孝行をやり遂げて行きましょうよ、
命は、その瀬戸際が来て、ありがたさ、尊さが分かる !
人は別れて、その良さが分かる、再び逢えない 仲だから
こそ尚更その価値が見えて来る。
「友よ !?」