穏やかな一日が始まろうとしていた、
恒例の犬の散歩に河川の土手沿いの道を歩いて見た。
河川敷中央の少し盛り上がった河原に数匹の犬が
のんびりと日向ぼっこしていた。
そこから100m上流へ行った水の流れが緩やかな場所に
カルガモの親子が7羽流れに身を任せていた。
河川の草花を揺する風もなく気だるさの伴う陽だまりが
時を刻んでいた。
時は5月、家の前の広い庭に鯉のぼりが3羽喘いでいた、
それもそう、力強く泳ぐだけの風がない、今にも尻尾
から落ちそうである。
柔らかな陽射しの元、気怠さだけが漂っていた、
さすがの我が家のワンちゃんの足も止まる、
もう、歩きたくないと恨めしげに見上げるその目は
今にも瞼が閉じそうだった。
狭い4mのアスファルト道が水気を失なって喘いでいた。
ひとりの訪問客が物憂げに玄関先で待っていた、
あなた何者、何の御用 ?
予期せぬ訪問客に辺りの騒音が消えた、
「Sさんですか、ちょっとお話を・・・ ?」
慌ただしい一日の始まりだった、
鬼が出るか、蛇が出るか ?
ストーリーなきドラマの幕開きだった、
嵐を呼ぶ男、祐ちゃんの怒った顔が浮かんだ、
はるか遠い空から、ジェット機の金属音が聞こえて
きた、米粒大の機影が東に飛び去った。
・・・・・・・・・・ ??