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思い出

夜の蝶のお姉さん 恩人

夜の蝶のお姉さん 私の恩人

どんよりと曇った空があの頃の喧騒をいたわるように霧雨状の涙雨を落として来た、「大変だったものなァ   !」

私の青春は公私共に多事多難、町に起きた刃傷沙汰を振り返るほどに、よくぞまあ無事で済んだものよとその幸運に感謝する。

当時の刑事さん達が「Sさんの店は喧嘩が絶えなかった !」と変な意味で感心して述懐する。

25~26の若造が、その経営の難しさに苦労した、よくぞ無傷で済んだものである、純喫茶でもそうなのに2軒目のスナック喫茶に至ってはその揉め事のスケールは更に大きかった。

武道の心得がない経営者はその事だけで神経をすり減らした筈である、因みに私の一級後輩は、高校でヤンチャを張っていた男なのに手伝いのカウンター仕事にビビってしまった。

「先輩 !  辞めさせて  !」這々の体で退散した   !酒の上での喧嘩、痴話喧嘩 ?  殴り合いは直前で止めるものの、酒が入る事で理性が麻痺する、無手勝流 ! ビール瓶が割られ、割られた底が顔面に来る、刺身包丁が不気味な光を見せる、普通の人では対応仕切れない。

やるせない修羅場、一般人が冷静に対処することは困難である。

「お前と喧嘩しに来た !」タクシーから降りた地元の喧嘩自慢   !

「わしは関東の何々組 !」この町で見かけない黒背広のいなせな男性、

  空手、少林寺、様々な武道を名乗って挑戦して来た   !

それは開店初期数年間の話、以降は娘さん同士でも安心して来店できる安全な繁盛店になる、顧客の層が良くなり安定して来たためである。

「Sさんの店は娘達だけでも安心して行かせる   !」「Sさんが守ってくれるから  !」 親御さんからありがたいお言葉を頂くようになった。

ある時は、荒れた客層の時期があった、今振り返って見ても何と怖い世界にいたものである、怖いもの知らずの無鉄砲ゆえに出来た水商売。

だから今、お客さんになって暖簾をくぐる気楽さよ、穏やかが何よりである、友と行く飲み屋さん、経営者、従業員の苦労が分かるだけに良い客として通している。

「大変だね ! 私たちの方は気を使わなくていいよ  !」

その言葉にお姉さん方の笑顔が弾ける、こちらとしても嬉しい気分になる、店をやっていると持ちつ持たれつ相合傘、だから水商売に働く同士の恋愛感情は安易に結びつく傾向がある。

お客さんが惚れ抜いた美人のホステスさんが、こんな男にと思われる同じ世界のだめ男に安易に騙される、同病愛憐れむの例えなのか、不思議な感慨にとらわれたものである。

「あの野郎  !」地団駄踏んで悔しがった金持ち親父をどれ程見たことか  !

また別に、ナゼこんな女にと首をかしげるホステスさんに首ったけの成金社長が大金はたいて尽くしたとさ、

しかし、女のアパートから漏れる秘め事は社長には聞かされない、「なに !」ヤキモチで気が狂うかもよ   ?

そんな雑多な人間の行き交う夜の世界、私には刺激が強過ぎました、だからじゃないけれど40前にサヨナラすることにしたのです、

夜の街にひしめく男と女の悲しい物語、私はそんな人たちに育てて貰ったのです、足を向けて寝られません。

人情、薄情、ひしめくネオン街、私はこの街が好きでこの街で大きく育てられました。

涙もろい女のさだめ川、流す涙の酒場川、   もう一度あの川を渡りたい                !?

You Tubeをのぞいて見てください。

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