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世界

ふたりの男

数十年前の男が前にいた、

何事にも自信無げに、しかし心構えだけは失ってはいなかった。

心で泣いて顔は笑っていた、厳しい掟に彼は必死に耐えていた。

昭和が終わりを告げる10年前、彼の姿は松山の地に在った、彼が故郷を後にしたのは決っして負け犬ではなかったが、子供の未来のために自身の野望を捨てたのである。

未知なる地は彼と彼の家族に想像を越えた試練を準備していた、肉親との離反、男の矜持を守るために彼は必死に耐えた。

自転車のペダルを道後から福音寺の高架に向かって必死に漕いだ、「何くそ !」目尻に涙が滲むのを行き交うハンドルを握るドライバーは知る由もない。

晩秋が冷たい木枯らしを吹き付けて来た、横河原行きの伊予鉄電車が高架下を通過して行った、後年、その東温市に住むとは思いもよらぬ事だった。

昭和が終わりを告げ、平成に入って、そして令和を迎えた、この4年、男は令和の男と対面していた、森松の憩いのカフェで席を同じくしていた、形は違うが辛さは同じ、2人には共通の試練だった。

「先に行く人ありて、後に追う人あり」

親子ほど歳の違う2人だったが、想いはアウンの呼吸の中で理解できた、人の縁、人の運  ! たとえ令和に変わろうと行き交う情は変わらない !

2人の共通は「お天道様の弟子」だという事である、それを物差しに日々の行動にブレーキをかける、「間違って、誤っていないか  ?」

まさか令和の世に戦争が起こるとは、よもや戦争が   ?

我々、飽食に慣れた日本人が戦後初めて経験する外国との戦争   ! 

日本の行く末、2人の男に覚悟は備わっている、たくさんの試練を乗り越えて来たもの。

あの日の福音寺の高架、あの何くそが、困難に折れない自我を作ってくれた、日本に生まれて良かった、日本人で良かった   !

風雲は急を告げて、今改めてウクライナの民を思う、ミサイルの飛来、その爆撃、ロシアの反対で国連安保理の審議が否決された。

これを期に、国連無用論が沸き起こるだろう、たった一つの常任理事国  の反対で物事が否決される、こんな無法が通って良い筈はない。

2人の男   !?

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