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日常生活

幸せの後追い 私の番で良いのですか

右手の車窓から見える紺碧の〇〇灘は白い波頭を見せて迎えてくれた、
空の青さに重なった地平線が何かを訴えかけるように輝いている、
はるか沖合いには大型の貨物船が南へ進路を取りゆっくり進んでいた。

車は一路港町へ向かって疾走する、文化の日の今日、車列が途切れる
ことなく続いていた、想いを共有する人々の存在が誇らしい。

車中は、二人と一匹の道行きである、気温もちょうどドライブに最適、
「テンプラ買いに行こうか!」 それが合図だった、準備は早かった。

ふるさとへの道には、決まったル-トがあって、まず〇〇堂の洋菓子
次は△△商店のテンプラ、そして道の駅 ア〇〇マ〇〇エの魚介類。

何時もは港町特性のちゃんぽんを食するのだが、今日は食事してから
出向いたのでアイスクリ-ムを所望した、思いのほか旨かったです。

そのほか手短に雑用を済ませると車を発進させた、同乗者の生家、
現在は駐車場に姿を変えているが、その付近をゆっくりと走らせる。

懐かしさがこみ上げて来る、幹線道路は子供が迷子になったところ、
記憶が蘇って、思わず鼻に ツ~ンと来た、そんな時も有ったな ?

山に囲まれた港町は、周囲の蜜柑畑が黄金色に輝いてこれからの収穫
の喧騒を予感させていた、九州航路のフェリ-が桟橋に停泊していた。

我が青春と、家族全員転居を控えて不安に苛まれた街でもある、
あれは昭和の残り火が、斜陽に喘いでいた港町と共に消えようとして
いた頃、昭和がその9年後に幕を閉じる55年のことだった。

西の果てに夕日が沈む1時間前、夕日の町 シ-サイドに車はすべり
込んだ、大勢の人波で駐車場と店舗は混雑していた。

それぞれに家庭があり、人生がある、その表情を見ながらみなさんの
幸多かれを願う私が居た、幸せの後追い、それが徐々に我が身の順番に
なって来たことを知るのは更に3時間後のことだった。

家に着いて買い物を材料にした美味しい料理を食べてくつろいでいた時、
そのベルは鳴った、

打ち合わせを済ませていた仕事がその対価が近寄ってくる知らせだった、
幸せの後追い、順番が来ましたか、私の番で良いのですか ?

信頼関係で結ばれたA先生の声も弾けていた。「Sさん頼みます !?」

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