未来は無限に広がっている、それに反比例して過去は遠ざかる、
これは将来を嘱望される若人の特権だが、
さて余命僅か未来を期待できぬ者は、ではどうなるか ?
寿命をもっと延ばす方法、即ち延命の方法を見つければ希望が
もてる、そして過去は更に遠ざかる。
「お前はこれから先の話をしないで過去の事ばかり話題にする」
何故なんだと小言を頂戴した、別段考えての事ではないが、成程
そういえばそうだ、そういうところで考えてみたのである ?
先のないものに先の話は限られる、だから先の話題は出来ないのだ。
いっそうの事120~200歳に寿命を延ばすと生きている期間は
すごい事になる、何ぼでも話の種は尽きない、これでどうか ?
時間を区切って人生設計を立てている人が居る、たとえ年単位でも
それは凄いことに違いない、私など凡人には真似など出来ない。
私は、宇宙に想いをめぐらす男である、時間の配分、スパ-ンが
とてつもなく長くて悠久な宇宙 !
天文学者の頭脳は、どのような構造になっているのだろうか、仕事に
向き合うその一部に家庭生活や社会生活がある、その切り替えはどの
ようにされているのだろうか、一度聞きたい疑問である。
せせこましい日常生活、眺める対象は巨大な宇宙、天文学者の心まで
宇宙の尺度になっているのでしょうか ?
宇宙船地球号、木の葉のように浮かぶ孤独な星、神秘は何処まで解明
されるのか、ひとりの人間の存在の何と小さく儚きものよ !
あの世とこの世、宇宙の謎が解明される程に、この不可思議な謎も
解き明かされるかも知れない。
「ちょっと行ってくらァ !」 夕餉の準備の真っ最中の女房お初に
人生にくたびれた平助が唐突に言った・・・
「お前さん、どこへ ?」 お初は何処か近所にでも行くのかと思った
のである。
「なあに? ちょいとあの世のおっかさんに銭を借りに行くのよ」
何と奇妙な話も有ったものだが ? あの世とこの世の謎が解けた
暁には、まんざらでもない話かもしれない、夢が有っていい !
「お前は何て奴だい! いつになったら貸した銭返すんだい ?」
あの世から里帰りのおっかあの雷が落ちた !
思わず大人しいはずのお初が叫んだ ?
「姑の苦労が済んだと思ったに ?まだ続くのかい、やだね お前さん!」
・・・・・