私の交友録の中に忘れられないひとりの男がいる、
正確にはお互い結婚して同じ年の子供が生まれた。
彼は、日々見かける2軒両隣の住人だった、
出逢いが険悪で、彼の家の真横に私の客が駐車した。
ところが、この男は見せしめにフロントガラス一面に
新聞紙を貼り付けたのである。
本当なら、文句一つ、啖呵のひとつも張りたいところだが、
ぐっと我慢の一文字で詫びを入れた。
ここから終生の友として付き合いが深まっていくのである、
待ちのS、まあまあの先手なし ?
彼はFと言って家具職人、山深い山の町から出稼ぎにやって
来た男である。
彼は妻と三人の息子を残して阪神大震災の後、帰らぬ人に
なった。
「あにさん! 兄さん!」と慕ってくれた男である。
私の男達との出合いは、妙なことにイザコザでの出逢いから
が多い、
大ファンの北島三郎の名前を取って、事ある度に「サブ」と
呼んで、あの世のFに問いかけている。
いい奴ほど、早く逝って、悪い奴ほどよく眠る ?
後悔と共に在りし日の彼らを引き戻して見たい・・・
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