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友情

男達の挽歌  穏やかな凪ぎに似て

梅雨の晴れ間と云おうか、青空が広がる高速道は軽快な車の列が軽やかな快音を響かせて疾走する、私もその列に遅れまいと更にアクセルを吹かせた。

午後一時目当ての目的地に到着した、亡き友の妻が穏やかな笑顔を見せて迎えて下さった。

この春三回忌を済ませたばかりの仏壇の写真を見て私は驚きの言葉を発した、

あの猛々しい剛毅な男の風貌は影を潜めて、そこにいたのは想像もできなかった優しい人の表情だった。

病に倒れてこの方、苦節28年、彼の胸の内の心の遍歴を見る思いがした、「よく頑張ったね Jよ!」私は思わず瞼に涙が滲むのを覚えた。

奥さんからお聞きする彼の人生は、運命を受け入れて宿命に逆らわず生き抜いた男の覚悟を見た思いである。

相反した両親との和解は、折々に里の墓参りに足を運んだ夫婦の姿に感じ取られた。

身体が不自由になった彼の瞳に生まれ故郷は何を語ってくれたであろうか、私達と過ごした学生生活の断片が思い出の彼方に蘇えってくれたなら、彼の為に救われる。

男の子2人は既に結婚して所帯を持っている、孫2人をこよなく愛して、孫の記憶にもしっかりとおじいちゃんの思い出として残った、その話を聞き、私の杞憂は静かに消えた、良かった !

「J・N」

アルバムに見る彼の晩年は、予想もつかなかった柔和な表情を残していた、感無量である。

番長に闘志を燃やし、全てを諦めて、社会に溶け込んだ勇者は、私Sに強烈な印象を残して黄泉の国へ旅立った。

川高ヒマラヤ杉、宇和海の渚を見下ろす港町は、彼を永遠に受け入れて温かく包むことだろう。

幻に消えたK校番長 !

残された我々があの世にたどり着く頃には、前後して向ったY・Yと共に花の番長席に陣取っているだろう。

私の次の課題は、故郷で彼の終章を知りたいと待つ友への報告にある、男とは、男だから、男らしく !?

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