武道談義 その不思議
伝統流派とフルコン空手に分けられる空手道、
寸止め空手、直接打撃、その片鱗に触れて、
「Sさん、どうですか ? 何か感じませんか ?」
そう言ってA師範は左手を開いて水月の前に差し出した、
そして開いた右手を軽く握り目の上から左手に落とした、
今度は、その拳を固く握り、同じく左手に落とした。
何か感じませんかという ?
もう一つは、突きに関してである、
右手の拳をやや軽く握り相手に突きを入れる、
今度は、拳を固く握り突きを入れる !
その違いが分かりますかという ?
初めはその違いが全く分からないまま別れた。
別の機会に、伝統流派の大学空手で主将を務めて、
現在も、地域で地道に弟子育成に奮闘するB先生に
その話を伝えた。
伝統流派4段( 現在はどうか ?) B先生も首を振った。
そもそも伝統流派に拳をゆるく握っての突きは考え
られない、固く握るのが基本だからである。
本場の沖縄空手ではどうだろう ?
拳を握らず突きをすると、突き指をする ?
突きの威力が落ちる、というのがその答えだった。
その謎は、未だに解けていない !
A先生は高名なフルコン空手の重鎮、
B先生は一大勢力伝統空手の勇猛な師範の直弟子。
海千山千の空手の本道を歩いた男達である。
ところが、また謎を呼ぶ話に翻弄される ?
昨夜の久保先生の話である、
投げられながら蹴りを入れる !
伝統流派の突き、フルコン空手の突き、
その比類なき威力とは ? 話題は尽きない !
極真空手と芦原空手サバキ談義、空手の奥は深い ?
これだから武道談義はたまらない !
若い者が涙をためて聞き惚れるに違いない !
私と年代同じくする男達が未だに帯を締めて道場に
立つ、その気持ちが分かると言うものである。
継続は力なり !
勇者達の気合が届いて来る。
謎が解けるのも近い、フルコン、伝統の融合、頼もしい。