高い角度から回し蹴りが落ちてきた、どうにか防ぐと間髪要れず中段逆突きが私の水月へ食い込んできた。在りし日のS先輩との組手である、手も足も出ずひねられた !
帝人空手部の猛者達にはこうして軽くあしらわれた、まったく歯がたたず、実力の差を見せ付けられることに為る。
食事が一段落して自室に戻ってメ-ルに目を通した、( おや !) 懐かしい先輩の便りだった、Y・S 現在は中部方面で太極拳の指導者として日夜健闘されている。
青春の一時期、胸に未来を夢見た先輩と後輩の足跡である。懐かしい! 男の友情の良いところ、歳月の移りが一瞬止まった !
さっそく返信を送らせていただいた、武道に携わった男の友情は、何ものにも代えられない、あの日が走馬灯のごとく蘇えったのである。
私の青春は、人と一風変わっていた、ある時期までは女っ気は全くなし、逆に避けていた、失恋の痛手と空手への想いが交互に行き交いあえて女性問題から逃げていたのである。
しかし私の個性がレディファ-スト、それ故他人から見ると手の早い男との烙印を押されたのも事実である、本当は恥ずかしがりやで初心 !その本心を知るのは共に空手の稽古に打ち込んだ同志達だけである。
だから今でも男の友情を優先する、女性には不似合いな男なのである、他に理性を抑えることについては他の追随を許さない、我慢の男でもある。膝小僧抱えてひとり寝の子守唄、これは自信がある。
「変な自慢をするものではない ? お天道様からお叱りを受けそうである」
S先輩の便りは、そんな思い出に私を浸らせた、青春回帰、空手道場 ! いまでは現役組のご意見番に男の喜びを見出している。
今日の午後、高校・大学空手部で青春をたぎらせた好漢とお茶会をした、武道は良い、その姿勢や由、S先輩はそんな思いに私を誘ってくれた。
押忍
台風の余波、窓が突風に揺れた、25号よ! か弱き人々をそれ以上泣かすな !?