二通のハガキが一日おきに我が家に届いた、
一通は、銀行を定年退職したある部長から
もう一通は早くご主人を亡くした保育園の園長先生、
定年退職のご通知だった。
それぞれとは電話でお話をさせてもらった、
部長とは私の都合で6月になってから一席設けましょうと言うことに
なった。
そして、もうひとりの女性とはほろりと来る会話になった・・・、
主人を亡くしてからの彼女には辛い仕打ちが待っていた、それも身内
との葛藤だったのである。
幸せの先送り、「今辛くとも必ず幸せは後追いでやってくる」
このように私は彼女に話していたそうであるが、そういう本人は細かな
言葉は忘れかけていた ?
昨年末のある日、結婚した息子に孫が誕生した、その日不思議な
出来事が起きた、息子の税理士試験合格の通知だった。
「一生、忘れられないうれしい日となりました」彼女は声を震わせて
話してくれた。
亡き主人は私の恩人の息子で、東京の一流企業を退職して父親の事業を
継ぐため帰郷した常識をわきまえた優しい男だった。
苦労する、辛酸を舐める妻を、天国から必死に見守っているであろう
と私は受け取っていたのである。
彼女の涙交じりの話を聞きながら不覚にも涙が頬を伝わった、
こんな話に弱くって、いろんな情景を思い出して彼女の話に胸が
詰まってしまった。
「よくがんばったね !」 私が今、直面している状況を話して、
「その暁には、・・・・・ からね」 と伝えたところである !?
人生投げたら駄目、歯を食いしばってでも子のため孫のために
我慢するところに道は開かれる。
お天道様が、彼女の胸いっぱいに塞がる不幸をひとつひとつ薄紙を
剥がすように取ってくださった、私はそのように感じとっている。
純情可憐な乙女達、初めて友達同士で来店してくれた日のことを
振り返っていた、
苦労の陰には、支えてくれる友がいた、手を差し伸べる先輩が居た、
女の友情、彼女の挫けそうな気持ちを支え続けたひとつ年上の先輩、
私は心からのお礼を申し上げたい。
「Kちゃん、Iちゃん、
あなた方は素晴らしい、良い女性に、良い奥さんに、そして良い
お母さんになりましたね」
八幡様の灯が、辛酸を舐めて掴んだ彼女の幸せを包み込むように
瞬いていた。
幸せの後追い、苦労の先取り、お天道様の采配に脱帽です。