青空を眺めて白雲を追う !
我が青春はツンと掠める潮騒の香り、
幾多の野郎達が通り過ぎて彼方に消えた。
肩に風切り、怒声を見せて、粋がった、
女を手玉に取り女を道具に使って闊歩した。
男と女、サドが睨んでマゾが泣く !
勝者と敗者がいつの日か逆転するのも知らず
お天道様を足蹴にした。
人生は、微妙な綾を紡いで終章に向かう、
男とは悲しき者よ、男伊達 !
多勢の前で意気がってひとりで呟く懺悔とは。
たかだか30代であたら命を捨てちまった !
あの日、弱音を見せたアイツは、瞼を滲ませて
語ってくれた。
それからわずか後、女房を残して自ら命を絶った。
林芙美子「放浪記」
「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」
「何でだよ ? 何故 ? 死んじまった !」
辛い事も頑張って耐えりゃ! 我が子との幸せを
掴んだものを、バカが! 馬鹿だぜお前 !」
初めて会った時、恫喝して来た男伊達 !それを
受け流した方が生き残っちまった、皮肉だぜ !
海を見下ろす高台のご先祖様のお墓に侠は入った、
石碑を登る虫の音を子守唄に代えて奴は静かに眠る。
「お前がマスターか ?」
もう一度、あの啖呵を聞きたい、 聞かせてくれよ、
「T 兄ィ !」