M君の帰郷
突然の電話だった!
その声は懐かしい男の声だった。
「マスターMです !」
一瞬、頭の回線が止まった !
「Mです ! 分かりますか ?」
2度目の自己紹介で回線は早まった、
「Mくん ?」
過去が忘却の彼方から蘇った、
まさか番長から電話が掛かるなんて、
矢継ぎ早に質問を浴びせた !
苦笑いしている好漢の顔が浮かぶ ?
渋い中年男の声が耳に心地よい。
確かにM君に違いない ?
彼はあることで長男とこの松山にいる、
時間と場所の指定を受けて快諾した。
小雨の煙る松山繁華街、
その近くのホテルに彼らは投宿する、
定刻午後7時ホテル横のパーキングへ
クルマは滑り込んだ。
相前後してラフな衣装の彼と長身端正な
長男が現れた、ああ!お母さん似だ ?
M君の妻は亡くなっている。
大事な行事の帰郷である、
明日の朝も早いのでゆったりしたロビーで
相対した、とにかく懐かしい。
彼に言わせると40年振りだという、
よもやま話は短時間では語り尽くせない、
名刑事だった実兄は数年前病に倒れて亡く
なった。
思い出話は尽くせない、大事なある依頼の
為、私の助言を求めて来たのである。
昔の商売時代と違い、今の私には充分力に
なれる事である、お受けすることにした。
実に心の広い男である、彼の怒った顔を見た
ことがない、彼が烈火の形相になった時は
大ごとになる時、だろうと思うほどである。
明日の早い事を思って1時間余りで席を立った。
松山市街に冷たい雨が降る ☔️
懐かしの番長、包容力のよか 男 !
久し振りの帰郷である。
続編はさらに続く !
故郷港町のあの街角に渋い男のブルースが流れる。
M君は、
アメリカデンバーから世界へ羽ばたく円心空手の
二宮城光師範の同級生である。
城光 ! ◯◯ !
懐かしい名前が次々と出る・・・
二宮師範の兄とM君の亡き兄は共に芦原会館で空手
を共にした同級生、良き男には良き友がいる。
押忍