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雑記

思い出の港町 それ喧嘩?

季節も11月に入った金曜日の夜は、 午後も7時にもなると人の姿が増えてきた。

すれ違う人の表情も派手やかに笑みを見せているが なんとなく穏やかな紳士たちが多かった。

客待ちのタクシ-が繁華街の少し先に止めて 喧騒の時間を待っていた。

私達が育った田舎の港町は、夜の帳を待って 近隣の村から青壮年に限らず夜の蝶を求めて 男達が集まってきたものである。

街角の随所で小競り合いは云うに及ばずたまには ぴかりと光る刃物が頭上を舞った。

蜜柑と漁業の栄えた港町は様々な思いを胸に ひと時の誘惑に胸を膨らませた。

パチンコ店の横を通りかかった私の耳に怒声が 飛び交った、ふっと見ると当時の兄貴分Kが 1人の襟をつかんで殴っているその時だった。

横に松山から仕事に来ていた顔馴染みのFが 止めに入っていたが私はそのまま通り過ぎた。

似たもの同志の喧嘩だったのである、勝手に やれば良い、横着だが私の思いだった。

とにかく私の周囲は毎日毎晩、このような喧嘩は 日常茶飯事、だから余ほど大揉にならない限り 「おいおい! 又か ?」 慣れと云うものは怖い。

そんな日々を重ねていたのである、「よう港町 !」

後日、私はFに「まるでシャモの喧嘩!」と 冷やかしたものである。

それをKが耳にしたものだから私と出会うと不快な 顔をして通り過ぎた、だが反発して来る度胸はなかった。

フック気味の大降り、それもゆっくり、蹴りと言えば 映画英二の長渕流 蹴踊り、まさに田舎の風物詩だった。

・・・クラックションが一斉に鳴った !

三番町交差点の信号が青に替わり、私はふっと我に 返った、目当ての待ち合わせの店が目に入った。

結婚祝いを兼ねた祝賀会が、その先に待っていた。

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