いつか行く道
暖かい陽だまりを追いやるように夜半の雨が心を濡らす、ひと時の安堵と充足感をあたかも運命が否定するように無情にも私に突きつけて来る。
冷静さを取り戻した私に神の暗示が下された、
この試練は全てお前が隣人に与えた事への因果応報なのだよ、どれほどの苦痛や哀しみを与えたことか反省するが良い。
この近日来の出来事を振り返ると、まさにしっぺ返しの場面に舞台が変わった感がする。
私にはそのあらすじが走馬灯に託されて見えていた !
あの時流したか弱き者の涙、その胸の内が手に取るように分かる、あれほど言ったのにお前は聞く耳を持たなかった。
これが因縁というものなのだろう、そういうと私の御師匠さんは静かに前から消えた、冷たい雨はその後を追うように静かにやんだ。
意地悪がいてその同調者がいる、それが悲劇の第1幕、主人公の道行に暗雲をもたらす、せめて1人でも止めに入る者がいれば舞台は変わっていたものを。
御師匠さんの忠告を私は静かに噛み締めていた、運に任せよう来る波に委ねよう、自らが招いた運命ならばじたばたしても仕方がない、泣き人の想い今こそ受け止めよう。
「Sさん、あんたの言葉はキツイ!」2人の男から発せられた言葉、1人は資産家、もう1人の消息は私の前から消えた、私の小さな器を揺さぶってならない「後悔先に立たず」今も重くのしかかっている。
私を取り巻く人間模様をヒントに反省文を認めている、
いつか行く道がいつか来た道に代わる、あの時、こうすべきだった、それは悲しい人間の業。
もう少しで退場の花道に差し掛かる、
「よう! みかん屋 !」・・・ 泣かせた相手が袖の下にいた、
「ごめんよ」
人は泣かすな! イジメるな!
それはお前の、いつか行く道 !?