帆を上げよ
締め切りに迫られて悲鳴をあげていたが強力な助っ人と理解のある役所の担当者の太っ腹に助けられて余裕を持ってゴールが出来そうである。
「帆を上げよ !」
私は、水飲み百姓と網元の血を引く人間だが農地を相手の仕事を主に歩んできた為、海に関する知識は弱い。
しかし、親父は農業で一生を終えたが兄、姉は母屋の漁業を手伝ったことで双方入り混じった環境で育ったことは否めない。
成人して社会に出てから、商いの道に入ると我が身体に流れる血の意味が理解されて、話しが合うのである、だから沢山の知己を得る事になった。
そして結局私の人生は仕事がらみ農業、漁業に託す事になった、今、振り返るとそれが良かったと思っている。
成人式を済ませた少し後、船主、網元の従兄の誘いで会社勤め、大手自動車メーカーの採用通知、ある事情で辞退したが、刑事になれの警察官OBの勧めも断わって水商売に入る。
もしも、あの時、どの道を選んでいたらどうなっていただろう ? 面白半分に振り返ってみる、強力に作用したのは武道に魅せられ、弱きを助ける男気に魅力を感じた事だった。
私の交友関係は、大物こそいなかったが、その周囲には社会に影響を与える人材も混じっている、しかし、私が重きを置いたのは底辺で苦労する人間にあった。
彼や彼女たちが人様に迷惑をかけずにひっそり生きている、ここに私の焦点はあたる。
「S さんは男だ !」
青春を共にした仲間が飲み会で顔を赤くして言葉を発する、涙溢れる時である、(見守ってやって良かった !)
そして彼の妻が「Sさん! お父さんに言って聞かせて・・」私に甘える、こんな男の友情は彼らの幸せな家庭なくしてはあり得ない。
コロナの現状を見ながら3人会から始まって、この15日には高校の同窓会、その後には同 同級会、小中の同級会、私のボロアパートで青春を謳歌したイソロウ君たちとの飲み会。
私の人生は多くの善意の人達に支えられて来た、その恩返し私の務めが待っている。
「帆を上げよ !」
外国航路で人生の大半を送った竹馬の友、ヤッさんが目尻を下げて笑っている。
帆を上げよ !?