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思い出

食事会 忘れ路の青春の日々

小雨の煙る寒気の厳しい昼下がり私達は馴染みの居酒屋で
落ち合った、先般約束していた食事会だった。

既に数組の客が香ばしいにおいのテ-ブルに陣取って舌鼓
を打っていた、午後12時半 食事会はスタ-ト した。
会社社長、税理事務所長、私の三人である。

話はさかのぼる事40年前、私が喫茶店を開業してから数年後、
社長は花の独身時代、所長は私と父親が親しくしていた頃の事
彼はその頃小学生であつた。

破天荒な日常が露になる、先般電話した後輩との職場珍道中、
腹を抱えての思い出話になった。

今、振り返ると 良き時代だったと言うべきで、現在の世相を
考えたら何度警察のご厄介になったことだろう ?

日米安保に守られて、日本周辺の独裁国家がまだ、軍事力の
脆弱な時代の話である、故に日本人の外国に対する警戒心が
緩やかな時代でもあった。

警察の取り締まりも規則一辺倒ではなく、人情に裏打ちされた
良き時代の警察日記の物語である。

社長の話は私好みの恋愛術、よくぞ女性に復讐されなかったものよ?
それはひとえに彼の人間性の賜物、愛すべき独身男と言うべきである。

腹を抱えて笑うのは、女性にモテ、 女性を泣かせた男ほど愛妻家に
変身しているということである、これは不思議でならない。

「もう、昔の話はしないでよ?」 (かあちゃんに知れるのが怖い!)
何とも愛すべき男達ではないか、社長では有りません彼の先輩の言葉
なのです。

話が弾みすぎて午後3時半、店長が申し訳無さそうにテ-ブルに来た、
「テレビ局が撮影に来ましたが、迷惑じゃありませんか ?」

ようやく気の回らない我々に気がついた・・・
「ああ! 悪かったね、すぐ出るからね !」勘定を済ませて辞退した。

ちなみにこの店は私の親友の店、お互い突いたり蹴ったりした仲である、
店長さんは親友の長男にして現在社長、今はやりの高校ラグビーチーム
の主将だった男、試合中歯が欠けたにもかかわらず勇猛突進した勇者です。

彼店長の恋愛が又凄い、単車で四国と九州を走っての逢瀬だったのである、
恋は目の前の危険さえ吹き飛ばす、愛は海峡の荒海さえも乗り越える。

ラガ-マンの気迫は、豊予海峡の風雨さえも凪ぎに代えたのである。
西郷どんが、言ったか、言わなかったか 聞き漏らしたが ?
「よか、男で ごわす」 

あれ、何の話だったっけ ? 
ああそうだった、今日の三人会は 月末の新年会に引き継がれていく、
物語は更に佳境に入って、男の友情は何物にも代え難い  !?

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