面影の人
人間は、長生きすると様々な場面に遭遇する、
その分だけ人を見、人を知る事に為る、
当然、自分にとってプラスの人がいればマイナスの
人がいる、
それを見分けるのは自分自身、人の所為ではない。
健気な乙女がいた、家庭環境の複雑さをおくびにも
出さず、明るく振る舞う女性だった。
どういう経緯で私の店に勤めるようになったのか
今では、ようとして思い出せない。
彼女の名は、M江、性格は明るくて心の美しい娘で
私の後輩の義妹、気立ての優しい女性だった。
店は彼女がいるだけで賑わった、そうして繁昌した、
年頃の男達が彼女に魅せられて押し寄せて来た、
杉の子中興の祖と言っても過言ではない女性である。
店の前で私の長兄と息子を抱いた彼女の姿がセピア色
の写真で残されている。
どの男性と付き合ったのか私は知らなかったが、後から
判明したのは、一番地味で真面目に家業を継いだ商店の
後継息子と結婚した事を知らされた。
店を辞めてから彼女と会った事はなかった、子供にも
恵まれ、幸せな人生が続くものと思っていたが、結婚生活
破綻の知らせが松山に届いた。
彼女が怒った顔や泣いた顔を見た事がない、離婚に伴う
夫婦の諍い、子供達との別れ、幾多の辛酸が有ったに違い
ない、その彼女の胸の内が愛しい。
何処で、どんな人生を歩んだであろうか ?
60半ばの歳を重ねた筈である、
「マスター!」 独特のイントネーションが懐かしい。
M江、私の苦闘時代を支えてくれた恩人である。
彼女にどうしても伝えたい事がある、
「あなたが慈しみ抱いてくれた息子はこんなに大きく
なりましたよ、有難う御座いました。」
M江ちゃんに 伝えたい・・・
私にとって正に 面影の人にほかならない。
杉の子さん。
長く生きてきますと、一人や二人、きっとそんな人がいますね。私にもそういう人の一人だった、ある女性が、先日亡くなりました。北九州の友から教えられ、そぅか、やっぱり、死は他人事じゃないんだと、納得いたしました。
そういう人とは、会ってならない場合が多いし、たとえ再会しても、伸ばせない手だったりします。貴方のように、ブログで思い出すのがいいんですね。邪な思いがなければ、思い出の人は、たくさんの人に共有され、大切にされます。誰かもが、そういう思い出を持っていますので、身につまされて読みますから・・・・。
onecat01さん、
私のような浪花節の男は、幸薄い女性に弱いです、助けてやりたいその涙を拭ってあげたい、
そもそもこれがダメなんですよ! 何かと云うと本当は女性は逆境に強い、その証拠に女の
思い出から男が消え去るのは早い、心の切り替えが出来るのでしょうね ?
それで、いいんです、早く立ち直ってくれた方が気分が楽ですもんね。
私の周囲でも昔の彼女との思い出を大切にする男はいますよ、男はそれだけ正直なのでしょう。
男女の悲恋は思い出の世界に留めることが最良だと思います、夢の世界にいる方が輝きを増す。