「あの世が近くなって花粉症とは ?」 右の人差し指を天井に向けて投げやりに語る私と窓口で対応の2人の職員は大爆笑となった !
若い2人の男女、私はこうして緊張の面持ちの職員をリラックスさせる、一変に座が和んでお互いの気持ちがほぐれるのである。
今日も、連続深夜の徹夜仕事、目が痒く、鼻水も止まらないので行きつけの病院へと出向いた、ふっくら先生の愛想がいい !
ぼやく私に説明が憎い ?
「Sさん、それはね免疫があるからなの、若い証拠なのよ !」そう言われると、それもそうなのかと頬も緩む ?
漫才先生! 小憎らしいね ?
「いつもの薬と花粉症の薬出しときます !」とニヤリ ?
これで阿吽の呼吸である。
私は小さな頃からお医者さんと相性が良い、2~3歳の頃長姉に連れられて市内では有名な気難しい先生の病院へ診察に行った。
「今朝、四つ張網が (漁法の一種) 魚をいっぱい取ったんよ !
いっぱい取ったんで ?」
気難しい先生だと知る姉は、怒られるのではないかと気は気でなかったそうだ、ところが逆に・・・
「ほう! そんなにいっぱい獲れたん、良かったね !」
頑固で有名な院長先生がまさか笑顔を見せるとは姉は晩年に
至るも折々に語っていた。
人間とはどうあるべきか、性格の違う相手にどう対応すべきか、私の人付き合いの原点がここにある。
先ず隗より始めよ!
まずこちらが虚心坦懐に臨むことである、例えそれが争う相手でも、まず頭をさげる、そこから出発である。
喧嘩はいつでも出来る!
この考えでいれば裏を返せば意地を張らずに喧嘩は止められる。
「四つ張り網が魚をいっぱい取ったんよ!いっぱい取ったんで!」
大黒町のその病院は港町の船着場近くに在った、そこから少し西に入った場所に、後年連れ添うことになる女の子が誕生していた。
人生の不思議がここにある、ひとの一生に無駄はない !
例え敵でも味方にすることが出来る、その妙は己自身の心にある。
気難しい人、本当は心豊かな優しい人なのかも知れません。
人生って、 面白い ! ブラボー ❣
「三つ子の魂百まで」
お医者さんとのキャッチボール、
お医者さんのご褒美、それは忘れてならない想い出。
「ぼく、良い子だからご褒美あげるよ !」
診察が終わって先生はそう言ったそうである、
そして、ある物を握らせてくれたのである。
うかつにも忘れてしまったが、貧しい田舎の子供には
珍しい物のようだった、ぼんやり頭に浮かんでいるが?
人に物をあげたい私の性格、日常の郵便屋さん、宅配便さん、家にあれば缶コーヒーを渡す事を心掛けている!
幼いあの日、気難しいことで知られたお医者さんとの
会話とご褒美、その時の嬉しさが潜在意識の中に眠っている。
三つ子の魂百まで、
「ありがとう! ご苦労様 !」
心づくしの温もり、人の痛みを知ることである。