男たちの挽歌 遥かなりボクシング
「M よ ! さがっていろ !」
東京は渋谷、スクランブル交差点に二人はさしかかっていた、小柄なAの肩が二人連れの腕に触れたのである。
私の友Mは東京に就職してボクシングのBジムへ練習に通っていた。
そこの先輩にプロの日本ランカーAがいたのである、AはMより二つ年上、田舎育ちのMをAは気に入って可愛がってくれた。
練習を終えた二人は「飯でも食うか ?」先輩に誘われて街へ出たというわけである。
都会の人は無関心、チラッて見て通り過ぎる !薄情だな ! Mから後から聞かされる愚痴だった !
相手を言えば普通のサラリーマンに非ず、遊び人、チンピラの類だったのだろう ?
プロボクサーAは、まず詫びた !
「ゴメンよ ! 気がつかなくて ?」
殺気を感じたAはMに小声で囁いた !
「M よ ! さがっていろ !」
頭を下げるAを勘違いした相手は図に乗ってきた !
「すみません! すみません !」Aはそれでも頭を下げた、相手の肩はAの頭より上にある、男のストレートが伸びて来た、
一閃 ! Aの右アッパーが相手の顎に炸裂した !
「うっ!」男は膝から崩れた、相方の男は驚愕の表情で立ちすくんだ、「Mよ!逃げろ !」 二人の姿は雑踏に紛れて消えた。
M 二十歳 !その後、ボクシングを続けたMの武勇伝は青春を彩った。
Mの男としての真価は、北海道から京都そして大阪の地へと変遷する、彼の氏素性を聞けば年配の関西人なら頷くはずである。
H・M !
我が母校の二人番長、花の番長Y・Y、 名番長H・M
Y・Y、は3年前逝去、H・M、現在の行方はようとして知れない。
男達よ! その生き様に敬礼 !?