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人生

敗者の傷跡

敗者の傷跡

敗者を語る時、相手としての勝者がいる、皆さんは、そこに何を想像するだろうか。

勉学、学問の優劣か、企業人の出世争いか、スポーツにおいての勝ち負けか   ?

私は男たちの挽歌を思い出している。

木枯らしの舞う雑踏の年末、暴漢に襲われた若者は理不尽なパンチを浴びて崩れ落ちた、悔し涙は彼の自尊心をズタズタにした。

その後の彼の運命は、この経緯をどのように消化、納得させたのだろうか   ?

悔し涙の果てに美酒を味わえたであろうか !

野球、サッカー、そして格闘技、それらを見る時、結果を知る時、私は敗者の悲哀を思う。

崩れ落ちた悲しみ、肉体の痛みは勿論として、その前に立ち直れない精神の荒廃を恐れる、敗者たちの悄然とする姿がことに哀れである。

チャレンジー、リターン   !

心の葛藤、悔し涙の果てに、立ち直った勇者の姿を想像する。

その彼は東京の大学へ進み、躊躇なく空手道部へ入部した、名だたる大学空手道部の雄は荒稽古で名を馳せていた。

先輩のシゴキもあの屈辱をバネに耐えて行く、スイも甘いも噛み分けた男として四年生を迎え、由緒ある大学空手道部の主将に指名される。

内にも外にも牙を剥く荒法師、他大学の連中をもその実力には舌を巻いた、だがそれは外向き、本当は情にもろい面倒見の良い人間へと成長する。

故郷に帰った彼は、偶然初詣の神社で彼に屈辱を与えた男と顔を合わせる、男は立ち止まって彼を訝しげに見つめた。

忘れることのできない男は、小さな男の子の手を引いて石段を登って来た、横には寄り添う妻の姿、彼は、小さな微笑みを男に返して石段を降りた。

男たちの挽歌   !

その数日後、彼の元へ風聞が届いた、男のものだった、大学空手で鳴らした彼の噂話は男の耳にも届いていた。

「悪かった、申し訳なかった   !」

                男の言葉が伝えられた。

2人を知る私の述懐、 

2人は運が悪かった、それは結婚を約束した女性が男の元から去って他の男と結婚した直後で、相手は誰でも良かった、屈辱と辛さの余り出会い頭の彼にその鬱憤を向けたのである。

荒んだ男は自分の気持ちを抑えられなかった、不幸な偶然だったと私は思っている。

大学空手での荒稽古と人間修養は、私の予想を超えて彼を成長させていた。     

大学時代に帰省した折、商店街ですれ違ったそうだが、意気がった男を彼は一瞥した、その男の耳に届いた彼の噂は強烈だった、それは「大学空手の荒武者 !」

私は一度、彼に聞いたことがある、 

「どうってことないですよ   !  昔のことだもの。」

凛とした武道家がそこにいた。

勝者と敗者

高校野球の球児など、その最高峰である             !?

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