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思い出

あの日のあなた 今何処に

あの日の貴方  今何処

幸せですか、そして元気ですか   ?

昭和が未だ残り火を燃やしていた55年、足掛け14年の水商売に私は区切りをつけて閉店した。その年は公私ともに多難な年で精神的、肉体的に追い込まれていた。

それを乗り越えたのは家族への愛と男としての責任感だった、小さな店、それまで水商売には向かないからやめなさいと一級建築士の後輩が忠告してくれた場末の裏通りだったのである。

当時の私にはそんな場所で経営するしか能力がなかったこともあって、反対を押し切って開店にこぎつけた、伊方原発の計画が決定して工事が始まった頃である。

人通りの少ない港町の裏通り、その店が繁盛するから予想は当たらない、店は3人の男性ウエイターと1人のウエイトレス、カウンターは当時では珍しい幅広く長い15人掛けと4人坐りのボックスが4席、計31人収容の小さな店だった。

茶色の好きな私の意向で店内は茶系統に統一した、斬新な店だった、港町では名の通ったN工芸、高校時代の仲良しK・Sの妻の甥が経営する工務店に頼んで造ってもらった。

店名「スナック  杉の子」を命名していただいたのは、Y商工会議所のO専務理事、私を引き立ててくれた恩人のひとりである。

店の近くに役所始め原発関係の人々の集う大恩人Y市一の料亭◯力が在った事がその後の運を呼び込むことになる。

「マスター!   席があくまで待たせてあげて !」

「マスター!   タクシーが来るまで待たせてあげてね !」

ママさんには助けて貰った、ママの甥が私と気が合ったことが大きい  !

そのほかバー、スナック、純喫茶店、マスター、ママさんそしてお姉さん方の愛情に素人同然の私は支えていただいた、今振り返ると赤面の至りと感謝しきれない恩に包まれて最終楽を迎えることが出来たのである。

 私が最大の功労者と挙げさせてもらうのが、元T市議会議長と元T市助役ご兄弟、この御二方の薫陶が私の水商売を永らえる秘訣となったのである。

今まで度々過去のブログで紹介させて貰った、おふたりの励ましの言葉、

「マスターお前さんは良い男だ   !」

今までもこれからも、正にこれに勝る励ましの言葉はない、期待を裏切ってはならない、この想いが幾度の難局を乗り越える要因となったのである。

時の市長、県会議員、代議士、大臣が、頭の上がらない唯一の名士兄弟、その言葉の1つ1つが私の処世訓になった。

私の商売はそして人生は「良きお人に恵まれた!」老若男女、各界各層、様々な人達が店と私の家族を愛して下さった、感謝の言葉しかない。

この項を思いたったのは杉の子を愛し、励まして下さった多くの方々のその後の消息である、突然の閉店でご迷惑をおかけしたことの反省から消息が知りたいと思うようになった。

閉店からも既に40年以上過ぎた、付き合いの続いている人、亡くなった方々、沢山のお客さんとの消息が途絶えている、もう一度逢いたい   !

歳を重ねるほどに、その思いが強くなる     !

私の未熟を改めてお詫びしたい、そして!「幸せですか  !   元気ですか !」 心からの感謝をお伝えしたい。

その店は、

八幡様の下、市民会館裏通り、片山町「スナック 杉の子」

現在は美容院として市民の皆様に愛されている、帰郷の折、ゆっくりと車を走らせる私に、鼻をつく郷愁が涙を誘う。

ありがとう !  みんなの杉の子、松山で頑張っています、また帰るからね             !?

あの日のあなた 今何処に” に2件のコメントがあります

  1.  伝わってくる貴方の想いがあります。

       あの日の貴方 今何処

       幸せですか、そして元気ですか ?

     会社員人生で終わった私にでも、この気持ちがあります。お世話になった沢山の方々・・浮かんでくる顔・・

     慣れない水商売で、苦労された貴方には、もっと切実な想いがあるのだと分かります。
    こんな時には、一人静かに盃を手に、演歌を聞くしかありませんね。思い出は、みんな貴方の人生の「宝物」です。

  2. onecat01さん、
    記憶を納める容器があるとすれば、永遠に入り続ける入れ物等ありません、
    そうすると交際範囲の広い人はどこかで記憶が漏れて行くことになります、私はそれを記憶の水が漏れて行く、過去の出来事が次第に消えてゆくと考えています。

    自分自身の物忘れの激しさに、そのような解釈をして納得させています、しかし、記憶の減退、なんと侘しいものか、自分の記憶、記録がなくなってゆく寂しさ、儚い思い出、今、一生懸命あの日を、あの時を手繰って別れを惜しんでいるのです。

    杉の子の思い出は大切なものでした、人との巡り合わせ、金銭に代えられない宝物です、あなたがいみじくも代弁してくださいました。墓場へ持ってゆく思い出もあるのです、男という奴は切ないものですね。

    男同士の差し向かい、今宵は男の縁歌をご披露いたします、ビブラ-トに哀愁こめて  !
    ダブルコメント、有難うございました。

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