人間は愚か者、されど愛しき者。
濃密な日日が続いている、よくも悪しきも押し寄せる、若い時はその選別さえもできない未熟さ加減だったのに ?
今では相手の目の動きで善悪が判断できる、会話をすればさらに腹が見えてくる、これが歳の効なのだろう。
締切日が迫り心の余裕も無くしがちだが、そこは良くしたもので、一つ二つとクリアするほどに余裕が生まれるから不思議である。
「Sさん!許可になったから取りに来てくださいよ!」昨日の電話だったが昼一番に行くと彼は休みだった。
若い事務員に礼を言って、その後ある局長を訪ねた、旧知の目をかけて来た職員だったが、あれよあれよと言う間にスッと先頭に立って花のポジションを占めてしまった。
邪魔をしてはいけないので普段は声はかけない、そっとして帰るのだが今日は久しぶりに雑談に興じた、偉くなっても変わらない男である。
若い時は口八丁の先輩たちに遠慮して控えていたが、いぶし銀は知らぬ間にトップに躍り出た、他人なのに涙が出そうな程の彼の栄達である。
「市長、あなたは偉い、えこひいきなし!ありがとうございます」
数多くいる職員の中で、この局長と、もうひとり嫁さんを世話しようと思った男がいる。
「Sさん!大丈夫!頑張るなア !」どこで出逢っても声を掛けてくれる職員で、意気に感ずるタイプの男だった。
「お嫁さんを世話するよ!」というとはにかんで手を振ったがしばらくして廊下で出会うと・・・ 「Sさん、結婚します! 養子に行きます !」向こうから笑顔で話してくれた。
松山の隣町、海の潮風に当たって育った浜っ子 !そういえば私も局長も彼も見事に海辺の浜育ち・・・
「あれ!名前何 だったかな ?」と頭を傾げたが思い出したので事務局で聞くことにする、再開のドラがなる、元気だろうナ !世知辛い競争社会だが、人間底辺で揉まれるとサッパリ系に育つ。
男の友情 ! 男の心意気 ! 男の涙 !
廃れていませんよ。
この歳まで仕事をして来ると、彼らが心を開いてくれる、喜怒哀楽、心を打ち明けてくれる、男って奴は切ないもの、母ちゃんに気兼ねして健気に役所に通う。
「頑張れよ、みんな同じだぜ!俺だってそっと飲むことがあるもんな」
夜風が、台風11号を蹴散らすように隙間から吹き込んできた。
美人さんからメールが届いた、それも京都から、親しいお方のお嬢様、再会が待ち遠しい。
その直後、知人から電話が入る息子の会社が制作した映画の話し、ジャニーズの人気者主演の映画ヒットの報告、息子は経営者のひとり。
私の交友多士済々、だから人生は面白い、、1人だけの道行に満足なのか? 隣の人に声を掛けてみなよ、人生開けるぜ !
人間は愚か者、されど愛しき者。 ♪!?