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思い出

ツワモノ達の夢の跡 

ツワモノ達の夢の跡 

頬を刺す12月の寒気の中を青空から希望の陽が降り注ぐ、追い込みの仕事を抱えた私は、勇気を貰って果敢に挑む。

今年も大切な友人知人を哀しみの曲に乗せて多く見送った。

世界の憂いをひと時忘れさせてくれるように公園は静かな佇まいを見せていた。

私の、いやそれ以上の悩みを抱えた人たちが寡黙に樹々の下に集っている、お互い声をかけず、それぞれの時間を愛しむように過ごしている、仕事が家庭が、ひとつづつ織りなされる人生、何を思うのだろうか「今日も、あのクルマ来ているね !」

無言のエールを車とその主に送る「良い人生送ってますか!」青春時代を共に過ごした若者たちと年長者がうたた寝の幻に出て来た「元気かい!今どこにいるの? 帰っておいでよ  !」 

彼や彼女たちが呼んでいる・・・

人間は面白いもの、常に人前に顔を晒し議論の中心に座る者、そんな出しゃばりの陰に隠れて隅の方で控えた奴、私はどうだっただろうか、若い頃は隅組、齢とともに前に出た嫌な奴 ?

たくさんの人に支えられて階段を登った、終の住処を東温市に構えた、振り返るあの日に、心のこもった人情をいただき、こうして地域に溶け込んでいる。

残されたこれからは、小さくとも一つでも恩返しがしたい、お天道様とのお約束、自らを律するように勝手な約束を自身に課している。

私の人生は武道仲間に恵まれて開花した、野辺に咲く花一輪、名も無き雑草で終えるはずが、人様に恵まれて人前に出ることができた、感謝以外の何ものでもない。

路傍の石が居て、特等席を用意された者がいる、だが勘違いするなよ  !  お天道様の下では皆平等、上下の差が無い事を自覚するんだよ!  そうしないと途中でつまずくぞ  !

「空手!  空手! 空手がなんぞ  !  ドスひとつあれば一発よ  !」

芦原道場の芦原さんと名曲喫茶で談笑中、地廻りの若い者が凄んだ  !

その主は、その数年前、青年団のダンスパーティで相対した若者のリーダーだったのである、彼は多くの青年団員の前で私に屈したことを男の恥としていたのである。

しかし、彼が亡くなってみると私は大きな後悔を抱えることになる、他のバッティングした連中とは、ほとんどその後、遺恨を無くして仲直りしたが、彼だけは常に私を避けていたことも有って機会を逃してしまったのである。

それだけに、その世界の立場を考えると、声をかけてやれなかったことが悔やまれることになる。

しかし、私との経緯の後は、故郷港町でひとかどの人物、兄貴分として港町を闊歩して行く、私にとっては若かりし頃の大きな反省点のひとつとなった。

私の店は老若男女、様々な人達がお見えになった、当然良い客ばかりでは無い、世間の人から嫌われる狼藉者もいた、

私が他の店の経営者と違ったのは、どんな客でも対応できたこと、当然彼らの仲間も私を品定めに来た、そして問題も起こした、しかし、当時は現在のように反社を排除する時代ではなかったので、ある意味経営者としては楽な面もあった。

公園に並行して一級河川重信川が流れている、昼休みを終えた工事車両が音を立てて動き始めた、駐車の車両も5台ほどに減っている、思索の時間が終わったようである。

強者たちの夢、叶わなかった花舞台 !

あの世で続きは再現しよう  !  「至らぬ点はゴメンよ  !」

ツワモノ達の夢の跡   !?

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