思い出はかげろう
目がさめると雨戸越しに12月の雨がベランダのスレートを叩く、晴天ほど寒さが強く雨になると寒さが和らぐ不思議な前夜 !
子供達がそれぞれ独立して出て行くと一軒家では広すぎる、ひとり寝の子守唄がこれほど身にしみることはない。
若い頃から何事も一人で解決して来た私だけに苦にはならないが一家団欒の楽しみは子供達が居てのこそである、実感させられる。
洋画に青空が眩しいというのが有ったような無かったような ? 他人を頼らない独立思考の私だけに苦にはならないが、出来るなら家族の団欒は有った方がいい !
思い出は陽炎 (かげろう)
年を重ねるごとに楽しかった思い出が記憶の中から消えて行く、辛い思い出が気弱になった男の胸を締め付ける、どうしたら良いのか! 自問自答するも良い案は思い浮かばない !
昨夜、久しぶりに故郷の姉と電話で語り合った、10人いた姉兄弟達が我々2人きりになったのである。
姉は年の離れたワガママな長男に嫁いで苦労した、娘に先立たれ、又息子にも先を越されて悲嘆の底に突き落とされた、世の中の苦労を一身に背負わされたような不憫な人である。
「考えてもいけないので、良い方に良いほうに明るく考えるのよ !」自分を慰めるように述懐した、救いは人柄の優しい人だから近隣の心温かい人たちが寄って来る、側にいる姪たちが常に目配り手助けしてくれる。
このような辛く寂しい時に姉の過去の行いが活きて来る、お天道様がちゃんと見ていて下さる、姉弟共通の慰めである。
人の情は辛い時にこそ嬉しい、苦労の中にも人様へ向けた情愛がこうして今返って来るのである。
あなたの歩んだ道程が、太陽の光の屈折加減で現れる。
思い出は陽炎 !?