因縁
同級生Aから奥さんの甥B君の就職の相談があった、
関西在住のその甥は、私の中学の後輩Cの長男である。
何故今転職してこちらに帰るのか、その理由を聞いて
私は不思議な感慨に浸っている。
結婚相手とは遠距離恋愛、相手の女性は私の住む街に
母ひとり子ひとりの慎ましやかな環境に在る。
その母Dと娘Eの生活を彼は尊重してこちらの街へ帰ってくる、
その決断が転職の動機なのである。
先般も同級生Fの息子Gの就職を紹介した、地元で幅広く事業
展開を繰り広げている旧知のH社長の会社に入社できた。
研修を兼ねて水の都 小京都の事業所に配属された、
「おかげさまで元気に頑張っています」 私の電話に明るく
答えた友の息子だった。
さて、今回のB君である、その結婚相手の身元を聞いて驚いた、
先日、ブログに紹介した亡き後輩の娘であることが判明した。
「Sさん、パパはSさんに逢いたかったと思いますよ!」
あの後輩Iの妻Dと娘Eなのである。
不思議な因縁に私はしばし呆然としていた、
結婚する相手の父親同士は共に私の1級後輩であり、二人は東京で
仲良く交流を続けていたことを知った。
娘の亡き父親は、私が最も気心を通わせた可愛い後輩だった、
その娘Eちゃんには可愛い弟がいた、その弟J君は公務員に採用され
結婚して仕事に精を出していた矢先交通事故で死亡した。
彼Jは、帝京大学空手道部の卒業生、全日本空手道選手権で優勝した
松山市出身のK君とは小さな頃より兄弟同然に育ち、空手に切磋琢磨
した兄的存在だったのである。
J君の死は、後輩Iの生きる力を奪った、仕事から帰り孤独な晩酌を
しながら在りし日のJ君の空手のビデオを眺めていたそうである。
彼の性格を知る私は、その亡き息子の道着姿、雄姿を見ながら泣いて
いたに違いないと思うと、私の胸も張り裂ける想いがしてならない。
前置きが長くなったがそんな関係のふたりの相談事だったのである、
先日、R社へ履歴書を届けて、N社長と夜の食事会をおこなった。
今朝、携帯はマナーモードに入りっぱなし、気がつくとN社長から
数回着信が入っていた。
「Sさん、25日 面接するよう担当部署に指示しました、本人にも
知らせましたよ・・・」
嬉しい言葉だった、この会社は社員1,000名 他県にも進出し
本県では名の通った有望な会社である。
叩き上げ社長と私の交友は30年を過ぎた、男の友情 ここにあり。
亡き後輩を、その子供達の結婚を思うと感無量である。
「Iよ! Eちゃんの花嫁姿もう直ぐだね、綺麗だよ きっと !?」