約束の時間に彼は待っていた、デパ-トの1階ロビ-、
何年ぶりだろうか、さすがに髪の毛は白髪一色になっていた。
心配していた健康については顔の血色もよく福よかに肥えて
いることで安心した、
そこにいる筈のもうひとりの友が居ないのが残念でならない。
今年の7月末、家族に見取られてその友はあの世に召された。
我々3人は、がん三兄弟だったが年齢的には真ん中の彼が
先に亡くなったのである。
近くの喫茶店に席を移して思い出話を伺った、
亡くなった彼らしいこの世での身支度を聞き悲しみ新たにした。
お悔やみは我々二人で残された奥さんの元へ出向くことにした
次第である。
見事な身支度だったことを聞き律儀な彼らしい身仕舞いを悲しむ。
人は、この世からさよならする時、その人間の真価が問われる。
先に逝った私の友たちは、おしなべて粛々と自分達の運命を受け
入れて旅立って行った、その孤独な胸中を思うと、もっと長生き
させてやりたかった、その思いが強い。
再会を誓って彼の後姿を見送った、
引き続き、全日空ラウンジで約束済みの男と待ち合わせ・・・
2時間に及ぶ長丁場となった、仕事の話、個人的な問題等多義に
渡った。
「珍しい人の声を聞かせてあげるよ ?」 と伝えて携帯の番号を
「誰ですか ?」 彼の声が喜びに変わった。
彼の父親の従兄弟にして私の仲良し同級生である、友は今富士の
裾野に住んでいる、ふたりの電話は感激で弾んでいた。
目の前の男は中年に差し掛かり、ある分野で重責を担った仕事に
付いている、文武両道を兼ね添えた好漢、その職責は重い。
私の友がモツ鍋専門の居酒屋をオ-プンさせたばかりである、
彼と彼の先輩にして私の弟分、三人で一杯会を開くことに決めた。
多忙な二人の予定は12月にならないと取れない、すり合わせて
席を設けることになった。
気のおけない男同士ほど、楽しい酒席はない、女人禁制の座敷は
モツ鍋の湯気とともに天井一杯歓喜の声がこだまする。
宴席の予定目白押し、身が持つかしら ? 男の酒に 乾杯 !
1年 又一年が 勝負! 一月 そう一月 いや一日 うん一日が
命の時計、名残雪、名残命の儚さも友が居てこそ報われる。
命大事に、友情に感謝 ! 人の出逢いに手を合わす、悲しみは
一夜寝て吹き飛ばす、良きえにし (縁) に 乾杯 !?