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人生

黄昏は悲しみを伴って現れる Jよ !

黄昏は悲しみを伴って現れる、Jよ !
仕事が多忙で予約の歯科医院に着いたのは午後12時半、
待合室にはふたりの年配の男女が順番を待っていた。

新聞、県紙を手にとってぺ-ジをめくった、何気なくお悔やみ欄に
目をやった、珍しい苗字の名前に目が止まった。
J 私の高校時代の同級生、午前10時葬儀告別式と出ていた。

昭和が戦後の成長期に突入して世の中が活気を呈し始めた頃の
田舎の高校の入学式、講堂に整列する我らの課の列に屈強な肩幅の
広い学生が異彩を放って並んでいた、物怖じしない強面の男だった。

高校の近くの裕福な農家の長男であることはすぐ判った、
我が高校では多数入学している中学から来ていた、その名前 J
三年生に小柄で控えめな姉がいた、その関係か 怖い上級生達も彼には
干渉しなかった。

隣の中学から来たY、私と一緒に自転車通学のM、 この三人が
一年生にして頭角を現していく、さすが三年生がいる間は大人しくして
いたが、野球部でしごかれた先輩三年生が卒業すると俄然自我を出し
始める。

1級上の先輩にとって、「この奴らは・・・!」と目をつけることになる、
しかし、この三人は臆することなく1級先輩に肩を怒らせて向って行った。

「わしがK校を牛耳る、抑えるぞ!」こうしてJは公言するようになった。
それは、二年の秋の修学旅行まで続いたが、箱根でのA工業との集団喧嘩
で馬脚を現したことで彼の権威は失墜した。

番長を張ると公言したらどんな場面でも逃げたら駄目、男を張らなければ
なるまい、彼はそれが出来なかったばかりに野に下ることになった。

後の二人と新たにKが加わって、K校の番長グル-プを形成することになる、
このK、 当時では珍しい空手小僧でタコの出来た拳は学校の柱をどついて
回り、男子生徒を震えあがらせた。

県の東、商業の街で彼の人生は終わった、若くしてクモ膜下出血に倒れ医療を
生業の糟糠の妻の支えでひっそりと暮らしていたのである。

J せめてもの慰めは
修学旅行以来疎遠となっていた二人の仲間と、ある時期引き合わせて手を握ら
せて仲直りさせたことが、せめてもの救いとなった。

資産家の跡継ぎだったが結婚問題で親の反対にあい、故郷を捨ててN市に居を
代えて人生を終えた。

私の周囲では何人もの友が病で苦しんでいる、黄昏は悲しみを伴って現れる、
友を励まし、その妻達の相談に乗るのが、私の勤めになっている。

黄昏は我が身の悩みさえ押しやって、人助けの旅路を彷徨う !
「Jよ! 薄幸の人生だったJよ! 両親との仲直りはあの世で叶えて貰えよ。」

遠くで犬が鳴いている、雨の音が男の鼓動を伝えるように我が心に響いて為らない。

不如意だったJの人生を偲んで、天国で花開くことを願いながら、
Jの冥福を祈りたい。

                              合掌。

黄昏は悲しみを伴って現れる Jよ !” に2件のコメントがあります

  1. 杉の子さん  こんばんわ!

    暫くご無沙汰してしまいました。

    もうすぐ、杉の子さんのお誕生日ですね。onecat01さんは、その日を待っておられるのでしょうか?
    方向音痴のonecat01さん、まさか海外へ行かれるとは、ご自分でもトンデモハップンの出来事だったのでは
    ないでしょうか?

    1・パスポートは、すでにお持ちだった?まさかですよね。慌てて?

     兎に角一度も経験がない海外旅行ですから、幼稚な質問が口を突いて出てきます。

    2・飛行機乗り換えなどあると思うのですが、まごまごされませんでしたか?

    なんて!この後も小学生以下の質問になりそうです。近いうちに、ブログでおかきになられると思うのですが
    楽しみにしておりますね。

    杉の子さん、 最近、気落ちすることが続いていて、杉の子酒場では黙って飲んでおりました。
    自分のブログに書きたい思いがあるのですが、思いのほか地域の方々が読んでおられて、書けないのです。
    他に開設する元気もなくて、かえってストレスを感じて閉じてしまおうと思ってみたり、一輪の花でも良い
    と思いなおしたりして・・・もうずいぶん前からこんなことを繰り返しております。
    杉の子酒場へ足を向けながら、このまま黄泉に下るまでは お邪魔するのだろうと思っております。

    24日はお酒の摘みを準備致しましょうね。皆さん集われると楽しいでしょうね。
    onecat01さん、ノルウェーでお酒は召し上がりましたか?
    ではでは、また参ります。24日にはコスモスも清らかな水分を十分とって、元気溌剌でまいりますね。

  2. コスモスさん、
    気落ちするのはあなただけではありません、私の周りでも泣き濡れて心を閉ざす人はいますよ、
    しかし、自分では立ち上がれなかった悲しみもそっと手を肩に添える人が居て、言葉をかける
    人が居る、少しずつ 少しずつ心が開いて笑顔が見える、杖になる人が居れば尚人生は好転する。

    心の隙間に、温かい風を送ってくれる人はいませんか ?
    そんな役目の人間でありたい、人を泣かせた後悔に、少しでも 少しでも 償って生きたい、
    そのような男が居てもいいですかね ? 

    人生の桧舞台から戦友たちが私を置き去りに黄泉の国へ普通列車に乗って行きました、
    それぞれの葛藤から逃れて現世の苦しみから逃げるように片道キップを握り締めてゆきました。

    あなたは、ご主人の分までこの世で生きる義務があります、息子さんの厄歳、前後3年間は新築
    出来ないのなら気長に待ってあげましょう、その完成を見届ける責任があるのです、いつかご主人の
    傍に行くとき沢山の思い出話を届けてあげましょう。

    花が好きなのに花の名前オンチ、コスモス、「フローランテ宮崎」の花 ハイビスカス、ひとつづつ
    覚えていくレパ-トリ- コスモスさん 今宵あたり杉の子で熱燗といきましょう、onecat01さん
    が 暖簾をくぐって来そうな予感 ! 元気をおだしよ、ディュエットでいきましょうか ?

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