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人生

季節はずれの突風に 菜の花が泣いていた

季節の変わり目 雨交じりの突風が日本全国を吹きまくっている。
昨日まで市井の人々の目を慰めてくれた桜の花びらが、無残にも
路面にこびり付いて哀れさを誘う。

舞い散る桜の花びらに似て、私の心の中に咲いていた人恋桜も
悲しみに打ち萎れて希望の彼方へ消えてしまった。

脳梗塞 癌 憎い病に1人 また1人と友が倒れていく、何人奪えば
気が済むというのか、この一と月2人の友が闘病叶わず召された。

さすがの私も気持ちが萎えて、しばし呆然は否めない、淋しい。
雨交じりの突風が外の電線を震わせて忍びなく、かきむしられる
我が心が、去り行く友への未練で泣きやまぬ、せつない。

血気にはやった青春は、一瞬の花火のように駆け巡った、恐れを
知らぬ若き血潮は、眉曇らせる大人を尻目に浅春を爆走した。

人生は巡る、我が身にその番が来て、命の儚さと尊さを同時に知る、
憎らしいほどの若人は惜しまれる人になりて、縁者の涙腺を緩めた。

せめてもの救いは、過去に脳梗塞に倒れながらかくしゃくとした友
の笑顔だった、よくぞ生還した、よくぞ召されなかった、その幸運に
手を合わす。

希望の再会を約してお茶会を終えた、
暗い闇夜にせめてもの灯火を、天真爛漫が闇夜を照らす、我が役目なり。

仕事の幕間に、友を思う、良い奴ほど先に行く、残った者には悪いが
先人の例えを振り返ってみる、そうでもないが ? そんなものか !
残った者は、侘しい現実に苛まれる、孤独と言う名の魔物が手を伸べる。

刹那の、時を経て怠慢の身体をこじ上げる、残された者は先行くものの
代弁者「Sよ、頼むぞ!」 家族の嘆きの傍で安らかに眠りに着いた友が
語りかけてきた。

戦いの後の死に装束「良いところへ行けよ、家族を見守って な。」
私は額にそっと手を添えて呟いた、いつか行く道 辿る道 我が行く時は
沢山の友人知人及び我が家族がちょうちん行列で迎えてくれるだろうか?

その日まで、お天道様のご指導仰ぎ、ヨチヨチ歩きで参ろうか !
気がつくと窓の外に一条の光りが注ぎ、風の音が遠慮気味に鳴いていた。

友よ! 気晴らしの時間をくれるか ? ちょっと気晴らしに出かけよう、
お前達が思うほど、Sは強くはない ? そっと涙を拭く男でもあるのだ。

友よ! 河川敷で残った黄色い菜の花が、先に行く桜を偲んで泣いていた。

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