頬に触れる春風が心地よくなって夜空に瞬く星座に夢を託す季節、私は折に触れ
夜空を見上げることがある、それは犬との散歩の途中であり、我が部屋の窓から
無意識に仰ぐ星空で有ったりする。
この宇宙のとてつもない広がりを実感させられるのは、今、目にする光が数億光年
数十億光年の時を経て我々の元へ届いたと知る時である。
この地球と同じような生命体の存在が認められる惑星が数十億個あると知らされた
時でもある。
後の言葉が出ない、その実感さえ伺うことが出来ない、宇宙はとてつもなく広いと
いう事に行き着く。
人間の器量について述べてみたい、約30年前に知り合った知人が居る、個性の
つよい男で、自分の知識に、自分の言葉に、絶大なる自信を持って他と接していた。
人間関係には謙虚さが必要だと思う私から見ると鼻持ちならぬ男でもあった。
自我を前面に出して自説を曲げないということは真の友情が生まれないという事に
なる、自然に人間づきあいが縮小されることになり、その結果友人はごく僅か、
それも信頼関係を保てる友は皆無だった。
月日は流れてある再開の機会が訪れた、自画自賛を抑えて忠実に再現してみる、
悩み事の勃発とそれへの対処の仕方である、私はよく「井の中の蛙大海を知らず」
という故事を思い出すことがある。
私にとって他愛もない悩み事なのだが彼には解決策の見当たらない苦しみとして
胸を圧迫していた、あの自信に満ちた傲慢すぎるほどの男が為すすべ知らず喘いで
いた。
自分と自分の家族だけを大事に過ごした男は他者の痛みに目を向ける術さえ失って
いた、小さな世界で日常を過ごして居たことが読み取れた、初歩的な法律知識さえ
持ち合わせていなかった。
だから問うて来る質問に私は唖然とした、ええ! こんなことさえ知らないのか ?
狭い世界で気楽に生活していた付けは大きすぎた、他愛もないことで呻吟している、
あの傲慢さに辟易した不快感は、惨めさを通り越して哀れすぎた、「因果応報」
私は、自分の余命を悟った時、苦しかったがこのように受け取ることにした・・・
「これが自分の運命ならば仕方がない、甘受するしか仕方が有るまい」そして覚悟を
固めた、それからは目に映るもの全てが愛しく、いじらしく思えてならなかった。
最も大きかったことは、「殺生が駄目になった」 肉類を食べなくは無いが努めて
控えるようになった、食べる時はあくまでも無機質なものとして食するようになった。
生きていた時の姿を思い浮かべないようにしている。
野良犬に眼が行き捨て猫に視線を這わせる、だから人間関係も激しい闘争心は持たない
様にしている、しかし、反面、勝つために手段を選ばぬ輩にはこの限りではない、
信頼して付き合ってきた人間が牙をむいて来た経験から、想定外の用心はしている。
悲観的なことが起きた場合、落ち込むのではなく、逆に開き直ることで進む道が開ける、
「為る様になるさ、仕方があるまい ?」「待てば海路の日和あり」良い方に考えること、
その過程が幸運を呼び込んでくれる、「必要以上に支えない、自分の力と考えで乗り
越えさせる・一見冷たいようだが突き放す」
今夜も星空を見上げて、星に語ってみる、
「数十億光年ご苦労様、宇宙線を浴びて、灼熱 酷寒の宇宙を良くぞ飛んでくれました、
確かにあなた様は今 私の元へ届きました、感無量です、ゆっくりくつろいで下さい」
星座の群れがいっせいに瞬いたような感覚に陥った。人間の悩みなんて、ちっぽけなもの
たかが一生、されど一生、だったらもう少し 頑張ってみるか !?
杉の子兄殿、
よく分かりました。
星の光のこと、宇宙のこと。そして我欲を通す、醜さなど。
ても、この言葉が一番気に入りました。
「落ち込むのではなく、逆に開き直ることで進む道が開ける。」