雑談

男って奴は 泣きたい時もある 淋しい時もある

男って奴は 泣きたい時もある 淋しい時もある
ある男伊達がひとりで私の店のドアを叩いた、
幸い誰もいなくって、ふたりでボックス席に向き合った。

若い者達が直立姿勢で「ハイッ!」と答えるほどの男伊達、
店のウエイトレスK嬢がカウンタ-の横で小さくなっていた、
「Kちゃん、大丈夫だよ、本当は優しい人だからね ?」

私の声で彼女の顔が少し赤らんだ、そしてホッと安堵した。

若い者を連れてくると、その者達が粋がる、男は黙認した、
真面目なお客さんは、始めは怖がったが、私が普通に彼らと
話をすることで安心したのか、自分達の話に熱中した。

「Sさんの店は、うちの娘が友達と行くけどSさんが守って
くれるから安心して行かせることが出来る !」

娘さんのお父さんがそう言ってくれる、経営者としてこれ程
うれしい事はない。

このKちゃんは私の店をやめて数年後、好きな人が現れて結婚
した、
その後子供が生まれて保育園の送り迎えの途中、自動車事故に
遭って亡くなった、純で無垢な女性だっただけに運命を呪った。

あれから数十年、その時の子供は30~40歳になったはずだが
ご主人と子供のその後の人生が険しいものではなかったか、胸の
痛む思い出である。

あの時、向き合った男伊達のB兄、どんな心境だったのかポツンと
私に打ち明けた、「本当はマスタ-が怖かった!」 あれほど若衆の
前で虚勢を張っていたのに何故なんだろうと不思議に思った ?

私が彼らを恐れず淡々と応対するのが彼らにとって不気味だったの
だろうか、不思議でならない、そうとしか考えられなかった。

私が店を経営する上で「空手に先手なし」この教えほど私を支えて
くれたものはない、いざとなりゃ、いざとなりゃあ! よ ?

私の師匠の生き方が、私に勇気をもたらせてくれた、太陽のような男、
豪放磊落、物事に動じない、火の粉が降りかかれば払うだけさ !

その平常心に裏打ちされた胆力、度胸は私にとって光りの束だった。
「男は、いざとなりゃ よ! 粛々と向き合えばいいのよ! なあ!」

そのB兄 が亡くなった事を知ったのは、私が松山に転居して〇年後、

彼と同郷の花の番長、Yが知らせてくれた、「Sよ、Bが死んだ !」
彼の死は、彼の父母が眠る墓地の樹の枝に紐を括って、覚悟の自殺
だった。

猛々しい男の反面、目を落として弱さを見せてくれた侠だて、B !
昭和が消えかかろうとする晩秋、平成を待たず、旅立ったBよ !

私も随分人生を生きた、Kちゃん、B、あの世とやらで 又逢おう ?
もう少し待っててや ? 故郷は黄金色のみかん景色、豊作だってね。

男には、寂しい時や 泣きたい時がある、

Bよ !  Kちゃん !  ・・・  もう一度 逢いたい !?

合掌

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