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雑談

酒とふたり連れ 追憶に生きる男たち 何処へ

私は、その男のその後を知らない、世の中に酒癖の悪いのは
わんさと居るが、相手構わず喧嘩を売る男ほどどうしようも
ない者はない。

私の知人たちが通り掛かると何人かの男たちが口論していた、
放っておいて良いのだが親切心で止めに入った、ところが
ここから性格と酒癖の良い悪いが判別して来る。

激しく文句を言っていた男が止めに入った知人に向きを変えて
食って掛かって来た!

「何 っ !」
そう言うか否や思い切り殴って来た!

ところが悪い事に酩酊しているから茶番となる悲劇の幕開き?
殴って来た右腕を取ると一瞬の呼吸で手前に引き寄せるように
捻った、

もんどり打って地べたに叩きつけられた、男の神経が切れた!
起き上がるとガムシャラに突進して、まるで相撲の押し相撲で
ある、今度は腹に蹴りが入った、

「うっ!」 地べたにへたり込んで苦悶の表情て前のめり、
一人が「だから止めりゃいいのに?」
後ろからカツをいれると、大きく息を吸って奴は起き上がった。

どんな元気者でも普通はここでやめる、が男は違っていた ?

知人たちが話しながらその場を離れると何とこの男が追って来る、
余程悔しいのか? 怒りが湧いて来たのか再ぶ突っかかって来た
のである、

さすがに知人たちも頭に来た (可愛げのない奴だ ?)
別の男が腹部に突きを1発いれた!

また、ひっくり返る! 

今度は起き上がると泣きながら殴って来た、
別の男が右蹴りを腹部に蹴り込んだ、今度は立ち上がれない、
地べたにへたり込んで泣きじゃくる、疲労困憊の態 ?

「悔しい!」 と云う事なのである。しかし、無茶もここまで
やると哀れになる、知人達は有る方法を講じて彼を放免した。

私の長い人生で見えて来るもの ?
結局、どの世界の人間でも自分を見失うものは救い様がない、
酒癖の悪いと云う事は、かくも哀れな醜態を晒す。

何故? 知人達は一発でケリをつけなかったのか ?
その武道家数名は、稽古の帰り道、私の店へ寄る道中のこと、

事を大きくしないための柔い処置が、無茶者の予測外の抵抗で
思わぬ展開になったのである。

それにしてもその心意気を、その勇気を世の中のために尽くせ
ば、良い人生が開けるものを ?

彼のその後を私は知らない、地元に残って地道に生きたのか ?
それとも都会へ出て人生の荒波をくぐったか ? どちらにしても
彼の人生は、酒とおイラと二人連れの苦界ではなかったか ?

私は、彼の姉さんと兄さんをよく知っている間柄だが、二人とも
真面目な良い人たちである。

しかし、彼だけは
出会ったことがなかった、杉の子学園か杉の子酒場に縁が有れば
良い方向に誘導できたものをと、これだけが悔やまれる。

酒の所為とは云え、素人の叩き叩かれる身体は長年の内に疲労が
重なる、彼の健康と幸せを願うのみである。

土曜日の昼下がり、公園の一角で景色を眺める私は、遠い追憶に、
在りし日の勇者と子羊を思い出していた。

激動を予測させる平成29年度が静かに幕を開けた。

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